宮地サンと春の日







「宮地サン……」

「あ?なんだよその顔」

「もー!なんでこんなに天気もよくて暖かいのに家でゴロゴロしてんすか!外行きましょ!外!」





オフの日に春から大学に通い出した宮地サンをデートに誘ったら「じゃあオマエん家行くわ」と言われて、わざわざ迎えとかそんなと思ってたらとんだ勘違いだった。
当たり前のように部屋に入ってきた宮地サンはオレのベッドで寛ぎだして。今に至る。





「外、花粉とか黄砂とか飛んでんだろ」

「あれ?宮地サンって花粉症でしたっけ??」

「いや別に」

「ちょ、外出拒否の理由全否定ってあんた」





つうか人と話ながら漫画読むな。
思いっきり体を揺すっても特に気にするようすもない。
いやこの人、何しに来たの。まじただ寛ぎに来たのコレ。





「オマエの部屋ってめっちゃ日当たりいいよな……親御さんに感謝しろよ」

「……はあ」





陽の光に照らされて、蜂蜜色の髪がきらきら光るのを見つめてなんかもう諦めがつく。
好きなひとがオレの空間で緩む姿ってのも悪くないか。

ベッドに背を預けバスケ雑誌を手に取ると、後ろで宮地サンが体を起こす気配がした。





「なに、諦めたのか」

「あーはい、なんかもう一緒にいられたらそれでいいかな、と」

「……っ」





雑誌に視線を落としたまま答える。

不意に後ろから掛けられた重みに驚いて振り返れば、オレを包み込むようにこちらに体を向ける宮地サンの姿。





「もうちょい、くっついてから」

「へ?」

「出掛けんのはそれからな。オマエの行きたいとこ、連れてってやる」





ぶっきらぼうに告げられた言葉とは裏腹に、抱きしめる腕は優しかった。

視線がうろうろと彷徨ってたことは黙っててあげよう。








(でもなんでそんな外出渋ってたんすか?)
(……外だと気兼ねなくオマエに触れねーだろ)
(…………)
(聞いといて真っ赤になんなよこっちが恥ずかしいじゃねえか……!!!)



(13/4/3)



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