黄瀬くんとボーイズトーク27
(高尾くんと黄瀬くんシリーズ)
「黄瀬くん、実はオレ……青峰のこと……好きになっちゃったんだよね」
「……は、?」
突然のカミングアウトに、オレはぽかんと高尾っちを見つめた。
思い詰めたような伏し目がちの黒眼。
悩ましい瞼がうっすら濡れて見えて。思わず息をのむ。
いま、高尾っちはなんて言った?
高尾っちが、青峰っちを、すき?
本気でそうだとしたら、オレはどうすればいいんだろうか。
高尾っちは大好きだけど、青峰っちはやっぱり渡せないし、でも高尾っちにも幸せにはなってほしい。
というか緑間っちはなにをしてるんスか。もしかして愛想尽かされるようなマネでもしたんスか。
え。じゃあ今まさか高尾っちはすげえ落ち込んでたり…いやそんなマジバに来たときはいつも通り笑顔で出迎えてくれたし。あああでも高尾っちならオレに心配かけないようわざと明るく振る舞ったのかも。そんな優しい高尾っちにオレは、青峰っち渡せませんとか言えるのかいやでも。
「…っぶは!!」
「へ?」
「ひーっ、ごめ、黄瀬く……!もーだめ!」
「え、えええ!?た、高尾っち、笑って……え?!おちこんで、たんじゃ……!」
「ほんとごめん、黄瀬くん本気で悩んじゃうんだからどうしようかと……!」
思考の渦に呑まれてたら、突然いつもみたいに爆笑しだすもんだから今度こそ混乱の極地に陥る。
身を捩って笑っていた高尾っちの明るい瞳が、まっすぐにこっちを見上げた。
「黄瀬くん。今日、何日か知ってる?」
「え、今日?今日は四月ついた、ち、って……ああああ!!!」
四月一日。
しがつついたち。
本日、エイプリルフール。
「もぉぉぉ…!オレ本気で悩んじゃったじゃないっスか!」
「ごめんっ、ほんとごめん!黄瀬くんなら嘘ってすぐ気づくと思ったからさあ」
「あんな迫真の演技ほかで使ってくださいよォ……」
がっくり肩を落とすオレに高尾っちは茶目っ気たっぷりに微笑んでみせた。
「心配しなくても、オレは真ちゃん一筋よ?」
ぱちんとウィンクまでもらったら、笑うしかない。
この人には、ほんと敵う気がしないっス。
(おんなじ嘘を真ちゃんについたら顔面蒼白しちゃってさー、貴重だったから写メって黒子に送っちゃったんだよね)
(高尾っち…それは鬼畜すぎるっス)
(13/4/1)
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