緑間が謀る
(※緑間と宮地サンの間
と軸リンク)
高尾は誰にも渡さない。
特に、あの人にだけは。
だから、先手を打ったまでだ。
「最近真ちゃんさ、先輩の話よくするよな」
「そうか?」
「そうそう。高尾ちゃん構ってもらえなくてさみしーわー」
「……」
「ちょっ、ノーリアクション?!」
……。可愛いやつめ。
オレの気を引く為に、まるで猫のように擦り寄ってみせる高尾を愛でたい気持ちを理性で抑え込む。
視線を自主練中の宮地先輩へと向けてやれば、案の定此方を気にしている様子が手に取るように分かった。
「ほーら。また宮地サンに熱視線送っちゃって〜」
熱視線、か。
敵に向ける警戒の眼差しすら、オマエにはそう見えるのか。
そうして自然と零れた笑みは高尾にどんな感情を与えたのだろう。
オレの言動ひとつで心揺らすオマエをどれほど愛しく思っているかなど、知りもしないで。
高尾。
もっとオレの名前を呼んで。
オレの存在を求めるといい。
その為にわざわざ、あの人を利用しているのだから。
余所見をしている暇など、一秒も与えない。
(足りないから、もっと)
(13/3/30)
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