緑間と宮地サンの間
オレがいないほうが幸せとか。
気づきたくなかった。
近くにいた。
誰よりも近くにいたから。
「宮地先輩」
あの人を呼ぶアイツの声が優しいってすぐに分かった。
焦って、いっぱいアイツの名前を呼んで、あの人から意識を反らしてみたりもしたけど、結局。
「高尾……、緑間って意外と面白いヤツだよな」
二人のベクトルはとっくに向かい合ってる。
気づいてねーのはお互いだけだよ。
バカみたいに置いてかれないよう必死になってたオレは、一体どっちに嫉妬してたのか。
今となっちゃわかんないけど。
「宮地サン。真ちゃんが呼んでましたよーっ」
「なっ!オレは別に呼んでなどいないのだよ……!」
「あ、間違えました。真ちゃんがなんか言いたげに宮地サンの背中を見つめてましたよ〜!」
「高尾!!」
こんな冗談で自分を誤魔化すくらいしかできねーんだわ。
二人とも大好きで。
二人とも嫌いだよ。
「緑間ー。ツンデレも大概にしろよ」
「先輩には言われたくないです」
「ああ?!」
ほら、はやくこの場を離れないと。
キツイのはオレなんだから。
震える指先に、お互いしか見えてないふたりが気づくことなんて、ないのだろうけど。
(狭間におちた)
(13/3/28)
[ 68/284 ]
[mokuji]