宮地サンが絡め取る









ほら、アイツはまた、笑いながらだれかを傷つける。

素知らぬ顔で。
愛されて当然といった顔で。



ああ。

苛々する。



あの無邪気な笑顔を歪ませて、その目にオレしか映らないようにしてやりたい。

その声が、オレの名前しか呼べないように自由を奪ってやりたい。



なあ。高尾。

オマエは色んなヤツに守られてるような面してっけどな。

いつだって加害者なんだぜ?








「宮地サーン!聞いてくださいよー!」

「あ?んだよ」





休憩時間。
背中に突撃してきやがった高尾の真意なんて、とうに分かっていたから。オレは努めて淡々と返した。





「昨日真ちゃん家に遊びに行ったらなんでか黒子と黄瀬くんに遭遇しちゃって」

「乱交でもしてたのか」

「ブフォォッ!ちょっ、何言っちゃってんすか宮地サン!」





爆笑しだす高尾に冷めた視線を送っても、コイツはひらりと交わすだけ。
いつだってその意識はこっちには向けられていない。
オレに絡むことで緑間の反応を窺っている。

他のキセキの連中も、オマエの思わせ振りなアクションに散々弄ばれてんだろ。





「宮地サンのその突拍子ないとことかも好きですけど!」





そうやって、平気で笑顔の裏に潜めたナイフで心をズタズタに引き裂いてくる。





「ハッ、そうかよ」





グッとその頭を引き寄せて耳元に唇を寄せる。
向こうで、緑間が目を見開いてるのが見えた。

勘違いすんなよ。
悪いのは、コイツだろ?
他人の気持ちを糸引いて、無邪気なフリしてる高尾が全部悪い。





「緑間が見てるな」

「え?なんのことですか?てか宮地サン、これじゃ端からみたらオレが抱きしめられてるみたいに見えるかも」

「そうかよ」

「えースルーですか?」





いつまでも、そこに居られると思うなよ。

そっちがその気ならオマエのせいでボロボロになった布で、その足が掬い取られるまで絡め尽くしてやる。



オレのとこまで、堕ちてくるように。








(それは断罪にも似た)



(13/3/23)



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