黒に染まれ2
インターハイ。
緑間のいる秀徳は、テツのいった学校に敗けた。
「くそ、なんで、オレじゃないんだよ……っ!」
ガンッ!
と更衣室から大きな音が響く。
音の原因は声の主ですぐに分かったけど。
「なにキレてんだよ、高尾」
「あ?……青峰、来てたんだ」
冷めきった視線に心が疼く。
オレなんかには興味もありません、ってか。
僅かに凹んだロッカーを横目にわざとらしくため息をついてやる。
「緑間のヤツ、オレらに当たるまでもなかったじゃねえか」
「……ッ」
そうだ。その顔。
オレの言葉に一憂するその表情が、もっと見たい。緑間なんかじゃなくオレのせいで傷ついて、ブレまくって、ボロボロになればいい。
そうしたら。
オレが掬い上げてやるから。
フッと一瞬揺らいだ瞳がまた鋭い光を宿す。
縋るように触れた高尾の指先は、驚くほど冷たかった。
「青峰……なァ、誠凛潰そう」
「かはっ、心配すんなよ。ンなもん……言われなくても最初からするつもりだわ」
(柔らかく崩れる音が聞こえる)
(13/3/15)
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