な「謎謎」
(【謎々(なぞなぞ)】
意外な意味を隠したことばで
問い、それが何かを
あてさせる遊び。なぞ。)
「なあ、黒子」
「なんですか?」
ニコニコといい笑顔で此方へやってきた高尾君。
何か良からぬことを考えてそうな笑みだなと思いつつ素知らぬ顔で問い返す。
「入れる前は硬いのに、出すとやわらかくなって主に紙で後始末するものってなーんだ?」
「は?」
突然何を言い出したのか。
見つめれば彼の笑みが深まる。
いれる前はかたいのに、だすとやわらかくなるものって。
アレしかないじゃないですか。
「なぞなぞだよ!黒子、答え分かる?」
「はい、まあ」
「まじか」
サラリと返事をすれば高尾君が驚いた顔をする。
隣に座るから自然と横を見上げるかたちになった。
こうやって改めて見ると、本当にキセキのみんなとは色の違う人だと思う。
「ガムでしょう」
「あー、なんだ分かっちゃった?黒子はやっぱ引っかかんねえか」
「青峰君や黄瀬君あたりなら迷わず高尾君の期待通りの返答があったと思います」
「!……てことは黒子ももう一つの答え考えたってことだよな!?」
「なんのことですか?」
答えを言えば面白くなさそうにしていた高尾君が、ボクの一言に大袈裟に反応する。惚けてみたら唇を尖らせて拗ねるから少し笑みが零れた。
無邪気で、可愛いひとだ。
「いやね、黒子の慌てたり照れた顔とか見たことねーなあ、って」
「そうですか?」
「そうだって。そういう顔になるときってあんの?」
「あると思いますけど…」
割りと、君の前では。
言いかけた言葉は飲み込む。
「高尾君」
「ん?」
「人によって形が違って、ちょっとしたことで形が変わったり色が変わったり、なくなったりまた出たりするものって、なんだと思いますか?」
問い掛ければ、少し考えるそぶりを見せたあと。
高尾君はいつものように笑った。
(それって、黒子のことだろ)
(13/3/14)
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