か「呵呵」
(【呵呵(かか)】
大声で笑うさま。呵呵大笑。)
「守りたいその笑顔」
「うるせーよ。つか何だよいきなり」
高尾ん家に飯食いに来て寛いでたら、いきなり真顔で手を握られた。
意味わかんねえし。
だいたいコート以外でコイツが真顔のときはふざけてるのが大概だ。
「いやさ、オマエ、めっちゃいい顔で笑うヤツだったんだな。黒子の気持ちがちょっと分かったわ」
「は?」
不意に取り出されたのは帝光にいた頃の雑誌の記事で。純粋にバスケが楽しくてしょうがなかったときの写真だと思う。
黄瀬と並んで写っているそれは、今のオレには眩しすぎるくらいの笑顔だった。
「……高尾。オマエは昔オレらと当たってボロ負けしたんだろ?」
「おー、遠慮なく傷を抉ってくるね」
「あ……悪い」
「いや別に今は言うほど気にしてねーよ。あの試合があったから、たぶん今のオレがいるんだと思うし」
尋ねようと思ったことの答えを先回りして渡される。
そうやって笑うオマエが、正直眩しく見えるなんて言ったら爆笑されるんだろうな。
コイツはいつだってまっすぐにバスケが大好きだ。
「オマエも大概バスケバカだよなァ」
「えー?青峰にだけは言われたくないけど」
互いに視線を合わせれば自然と笑みが浮かぶ。
「ま、オレは今の青峰の笑い方も好きだぜ!」
「はあっ?」
なにを言ってんだ。
コイツは。
固まってたとこで、頬をつつかれ我に返った。
「悪人笑い」
「高尾ォ……てめえもたまに人のこと言えねえような悪い顔してんだろーがっ!!」
「えー?高尾チャンは常にエンジェルだからわっかんねーわー」
「だから棒読み!!!」
ケラケラと笑い転げる高尾にホールドかましてやれば「まじで折れる!」と更に爆笑しながら身を捩る。
そんな姿につられてオレも笑った。
(きっとそれは、あの日に負けないくらいの)
(13/3/4)
[ 279/284 ]
[mokuji]