(※社会人パロ)
(※四人は同じ会社)
(※宮地サンだけ先輩あとは同期)
「そうだ!京都にいこう!」
「いやどうしたよ急に……」
ソファで寛いでいた高尾のいきなりの宣言に一応突っ込む。
コイツの突拍子ない言動は最近になって始まったもんじゃねえから一々反応してたらキリがない。
「宮地サンも知ってるでしょ?オレの同期の黒子と青峰」
「あー……あの大人しくてちっこいのと黒くてデケーの?」
「アンタも十分デカイっすからね?……こないだオレ、そのちっこい黒子から相談受けたんですよー」
「は?なんて?」
作り置きのオレンジジュースを啜りながら尋ねる。
オレが来たことに気づいた高尾がソファの右端へ寄ったから隣に座った。
「『僕……青峰君に、嫌われているかもしれません……仲良く、なりたいん、ですけど、……どうしたら……っ』って」
「……。今の黒子のマネか?」
「真っ赤になって俯き加減な感じがくっそ可愛かったです」
「じゃあ全然にてねーわ」
「ぶはっ!ダメ出しされた!」
高尾は社内でも知らないヤツはいないくらい賑やかで騒がしい存在だから、物静かで淡々と仕事をこなす黒子みたいなタイプと仲が良いとは思わなかった。
しかも、その黒子が青峰を好きとか。
つうかそれオレに言ってよかったのかよ。
「宮地サン、今のお仕事で青峰直属でしょ?青峰、何か言ってなかったですか?」
「……おま、ほんと何でも知ってんな……」
分かってて聴いてるらしい高尾にそういう意味を込めて視線を送れば、食えない笑顔。
「……青峰、好きな奴に告白するかしないかで悩んでるっぽいわ」
「やっぱり!ここは恋のエンジェル高尾ちゃんが一肌脱ぐしか!」
「馬に蹴られて死ぬぞ」
「その前に宮地サンにきゅん殺される予定なんで!」
「意味わかんねえよ」
「あの二人に託つけて、宮地サンと旅行に行きたいだけ、とか言ったら怒ります?」
「……っ」
相変わらずの調子のよさであれよあれよと旅行をセッティングした高尾には、たぶん一生敵わない気がする。
惚れた弱味だ。仕方無い。
斯くして。
高尾が黒子を誘い、オレが青峰に声を掛けた京都旅行は決行された。
のだが。
「どうしよう宮地サン」
「どうもこうも……おまえ……」
「あの……っ青峰君、やっぱり、自分の荷物くらい自分で持ちます」
「いいんだよ、オレが持ちたくて持ってんだから。つうか、あんまフラフラすんなよ?何かおまえほわっとしてっから見失いそうだわ」
「大丈夫ですよ……ボクだって社会人なんです、迷子になんかなりません」
「かは!わかんねえぜ?神隠しとか遭いそうだしな」
「フフ、何ですか、それ」
「オレら、邪魔じゃね?」
「いやそもそも視界にすら入ってなさそうですから……邪魔とかそれ以前の問題」
「エンジェル、出番なしだな」
意地悪な笑みを浮かべて見せたら、高尾が唇を尖らせる。
そういう仕草がさまになるからあざといんだよな。
「オレは宮地サン限定のエンジェルになるからいーんですー」
「……っ、バカか」
恥ずかしいことをさらっと言いやがって。
「ね、宮地サン。いっぱい思い出つくりましょうね!」
その笑顔がまじで天使みたいだとか、間違っても口にはしない。
結局、旅行中に付き合い出した青峰と黒子。
あまりにも上手くいきすぎて拗ねた高尾が、後ろからこっそり撮影したアイツらの恋人繋ぎの写メが送られてきたのは、また別の話。