(※大学生設定)
「宮地サーン」
「あー?」
「ねむい」
「おー、じゃ寝たら」
「ひどい」
「あ?」
オイ、腹に頭をぐりぐりすんな。
さっきまでベッドを背凭れにクッション抱えてた高尾は今、オレにしがみつくように現実と夢の境を行き来しているらしい。
DVDを観てる途中で何かうとうとし出したのはわかってたけど、寝たらまぁそんときはそんときでと思って声を掛けずにいた。
ら、何が気に食わなかったのか、横からオレの腹筋辺りにしがみついてきやがった。
「眠いなら寝りゃいいだろ、ベッド使っていいぞ」
「……せっかく……宮地サン……休みなのに……、そんなもったいない」
「あのなぁ……オマエだって色々忙しいだろーが。寝れるとき寝とけ」
ぽんぽんとあやす様に軽く背中を叩けば、閉じかけた瞳が見上げてくる。
普段は調子に乗ってっけど、こうして甘えてくるときはムカつくことに可愛いんだよな。まじムカつくけどな。
「……、」
「ほら」
高尾の顎がオレの肩に乗っかるように抱え上げたら、腰に巻き付いてた両腕が首へと回されてさっきよりも体が密着した。
眠いせいか温かい。
「……みゃーじさぁーん」
「おー、なんだー」
「あったかーい」
「おー、そーか」
段々間延びしてきたその声に何かつられてオレまで眠くなってくる。
「みや、じさー……、」
「あー、なにー……?」
「……おれ……いま、しあわせ、です……」
ぎゅっと、肩口に埋もれた高尾の口から聴こえた一言。
思わず笑みが零れて身動いでたら小さく寝息が聴こえ始める。
心地よい微睡みのなか、オレは少しだけ顔を動かして。
すぐ傍にある髪にキスをした。
(おやすみ、いい夢を)