will×→be going to〜○





「……、はぁ」

「高尾……朝からため息ばかり鬱陶しいのだよ」

「……はぁ、……ため息つくオレ悩ましいっしょ?」

「黙れ」





予想通り冗談は一掃された。
全く優しくないエース様だ。
いや朝からため息ばっかのオレが悪いのは分かってんだけどね。ほんと申し訳ない限りだけどね。
もうすぐ部活終了の時間なわけだけど最後までこんな調子でほんとごめんね真ちゃん。

とりあえず素直に謝ったらおもっくそ顔をしかめられた。それはそれでヒドくないか。





「素直なオマエなど気持ち悪い……何が原因でそんな陰気になっているのだよ」

「いやさ、昨日の部活終わりに宮地サンが体育館裏で告白されてんの見ちゃって」

「それで今更落ち込んでいるのか?あの人が不必要に女子に人気があるのは今に始まった事ではあるまいオレには解せんがな」

「ちょっ、真ちゃんノンブレス+無表情で言うのヤメテ」





迂闊にも噴き出しちゃったじゃん。オレ、落ち込んでる設定なのに。いや設定つかまじで落ち込んでたんだけど。

真ちゃんといると安心する。

ムダに気い使わなくていいと言うか変にマジメだけど偏見とかそういうの無いし。
実際、オレが宮地サンのこと好きだって言ったときも「そうか」と一言。相談しても呆れつつもちゃんと聴いてくれるし。





「あーあ、オレ、真ちゃんのこと好きになりゃ良かった!あ、いや今も好きなんだけどね」

「馬鹿を言うな。貴様など願い下げなのだよ」

「なんでよ!オレちょう尽くすぜ!しかも文句とか言わないし!わぁ高尾ちゃんちょうお買い得!!」

「五月蝿い黙れ騒ぐな」

「ヒドイ!真ちゃん!!あの二人で過ごした熱い夜は遊びだっ……」





「高尾」





「へ?」





急に真ちゃんとの距離が離れたと思ったら、ちょう至近距離に宮地サンがいた。
というか、あれ、なんでオレ、宮地サンに抱え込まれてんの。





「ちょっと面貸せや」

「えええ?!な、んでですか、いま、自主練、中……っ」

「無駄口する練習ならいつでも出来んだろ?先輩の言うこと聴けねーのか?ああん?」

「このような面で良ければお貸し致します」





瞬時に頭を下げたら引き摺られるように体育館から連れ出されていく。
助けを求めるように真ちゃんを見たけど、やれやれとあっさりシュート練習に戻る後ろ姿が見えただけだった。
ほんとエース様優しくない。










「で?緑間との熱い夜を過ごした高尾クンの今日の練習時の態度は何の悪ふざけだったワケ?」

「あ、いやぁ、ちょっとそれは口には出せないというか」





体育館裏で向かい合ってるけど、昨日の宮地サンと女子の空気とはほとほとかけ離れたこの雰囲気。
ぶち殺されそうなオーラ出てんだけどこの人。やべえよ、オレ今日が命日になりそう。





「ふざけんな。オレのことだけとことん無視しやがって……っ何の嫌がらせだコラ」





あとバレてた。避けてたのバレてた。
いよいよ詰んだわーこれ、と意識を飛ばしかけたとき、舌打ちした宮地サンの口から信じられない言葉が聴こえて。飛びかけた意識が一気に戻ってくる。





「しかも当て付けのように緑間とイチャつきやがって……くそ死ねよ緑間……」





ぼそりと本人は呟いたつもりだったのかも知れないけれど、ばっちり聴こえた。一気に顔が熱くなる。だって、今の、まるで。





「宮地サン、昨日、告られてましたよね?」

「はっ?……ああ、まぁ……オマエ、見てたのか?」

「そのとき『好きなやつがいるから』って、断ってましたよね」

「あ?まぁそうだけど……いや、つうかオレの話聞けよ」





まさか。
そんな。



そう思いながらも、紅潮する頬を抑える術を、オレは知らなかった。



そのままに、宮地サンを見上げる。





もう、こうなったら今しかない。

男、高尾和成。当たってくだけてやろーじゃねえか。





「オレ、っそれで、宮地サンに、好きなひとがいるんだって、知って今日落ち込んでたんです……!」

「……は?え、……えっ、はぁ?!いや、オマエ、それ」





「好きです!宮地サンのこと、好きなんです!!」





言ってしまった。





辺りが沈黙に包まれる。

宮地サンからの、反応はない。





終わった。
少しでも、もしかしたら宮地サンもオレのこと、とか思ったのが間違いだった。

恥ずかしくて、ツラくて、もう目の前に立ってるのすら拷問のようだ。





「あのっ、そんだけ、です!すみませんでした……っ」





走り去ろうと踵を返した瞬間。





「や、ちょっと、待て!」





後ろから、宮地サンに抱きしめられた。



どんな顔してるのか、死ぬ程気になったけど。振り向く必要がないのが、何となくわかった。





「待ってくれ、ちょっと、現実受け入れるまで、待て」

「ぶはっ」





その余裕のない声に、強く回された腕が。何より真実を語っていたから。





「笑うな、高尾、轢くぞ」

「ふ、あははっ、今なら、怖くないです、」

「オマエ……ッ不意打ちすぎんだよバカか」

「はは、宮地サンが、カワイイ!」

「……っ」





ぐっと、蜂蜜色が視界の端に掠めたかと思ったら、一瞬で世界が明るく染まった。





「……?!んっ、」





「逃がさねーからな、覚悟しとけ」





息が掛かるほど近くで微笑んだ宮地サンは。





信じらんないくらいかっこよくて。
オレは思わず真っ赤になって、それを思いきりからかわれることになる。








(不意打ちは、お互い様!)





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