Sotw





たまたま通りかかった駅前のコンビニ前で、それなりにタッパのある二人組が小柄な男に絡んでいるのが目に留まった。
こんな目立つトコでカツアゲかよ。
ぼんやり考えながら横切ろうかと思ったら、なんとなく聞き覚えのある声が耳に入って自然と足が止まる。





「いや……だから、申し訳ないんすけど、男の方を御相手できるほど人間できてねーっていうか……」

「そう言わずにさ、ぜったい楽しいって」

「そうそう、お兄さんたちが可愛いがってあげるよ〜」

「あー…あはは……」





おいおいマジか。…ナンパかよ。
しかも声掛けられてんの、秀徳の高尾じゃねえか。
アイツ確かWCのとき赤司んとこのオカマにも気に入られてなかったか?そういう体質なのか?

感心半分呆れ半分で咄嗟に声を掛けられずにいたら、笑顔を絶やさないままに高尾が男たちから距離を取ろうしたのが分かった。
まぁ適当にやり過ごすだろとオレもその場を立ち去ろうとしたとき。茶髪の方が高尾に手を伸ばそうとしているのが見えて、何故かオレの身体は無意識の内に動いていた。



ガッと音がするくらいに茶髪の手首を掴んで捻り上げたら、そこにいた三人分の視線が一気にこっちに集中する。








「触んな」

「……ッ?」








振り向いた男二人がオレの姿見て固まった。
そりゃそうだろうな。ある程度デカかったら見下ろされることなんてなかなかねーだろ。





「……っな、何だてめえ!」

「いやオマエらが何だよ」





表情変えずに切り返したら尻込みしてやがる。だっせ。そんなんでよくヤローに声掛けたもんだな。
呆れ混じりの視線を投げてやれば、ビビりながらも茶髪が口を開く。





「クソ!男連れなら先に言えよ!」

「ブフォ!お、男www連wwwれwwwwww」

「いや……オマエ余裕じゃねえか高尾……」





その一言で爆笑し出す高尾にさっき二人組に向けた視線と同じものを向けてしまった。
コイツさすが変人緑間の相棒だな。このタイミングで笑うかフツー。

笑われてブチキレ寸前の男らを横目にさてどう収拾つけたもんかと考えてたら、不意に高尾の腕がするりとオレの腰に巻き付いてきた。
反射的に身体が跳ねそうになるのをなんとか抑え込んで信じられない思いで腕の主を睨み付ける。





(おま……っ何して…!)






振り向いた先にあったのは、きらきらとムダに眩しい笑顔。





「ごめんね〜オニーサン方、悪いと思って言わなかったんすけど……オレ、今からこの大輝クンとデートなんですよ!」










「もーっ、待ったんだからね!」と可愛い声と裏腹に半ばオレを引きずるように歩き出した高尾を二人組が引き留めることはなかった……。















(さっきはありがとな!まさか青峰に助けられるとは思わなかったわー)

(オマエぶっちゃけ一人でも何とかしてたろ。つうかオレが居たこと気づいてたろうが)

(うんまぁ見えてたけど、青峰ならスルーして通り過ぎると思ってたし)

(…………)

(だから)

(……あ?)

(来てくれて嬉しかったぜ!)

(…………あー…、ちょっとオカマとさっきのヤツラの気持ちがわかったわ……)

(???)






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