誘う眼差し






「宮地サン!ちょっとこれ、見てくださいよ!!」

「あ?なんだよたか………………あ?」





いつものようにバカみてーに笑いながら声を掛けてきた高尾を振り返って、固まる。

視線の先には、ユニフォーム姿の高尾。
なんで試合でもねえのにユニフォーム着てんだよとか思ったが今重要なのはそこじゃねえ。

そこに記された番号は6。

なんで、緑間のユニフォーム着てんだコイツ。





「この丈!もはやワンピースじゃないですか?!」

「いや……つうか、何してんの?」

「好奇心に負けてつい」

「まぁ高尾とオレとでは20cm近い身長差だからな。致し方ないのだよ」

「いやここまでとは思わなかったわー!ぶっは!ねぇねぇ真ちゃんこれ下履いてないみたいじゃね?ぎゃはは!!」





いや何が好奇心に負けてつい、だよ。何が致し方ないのだよ、だ。
ガチで下履いてないようにしか見えねーだろうがそれ。
短パンががっつりユニフォームに隠されて、するりと伸びた下肢が惜し気もなく曝されている。

つか緑間は何で生暖かく見守ってんだよ取り返せよオマエの大事なユニフォームだろうが今こそ人事尽くせよ轢くぞ。

他の部員たちもまたか、とまるで子供を見つめるようなやつらと、明らかに高尾に性的な視線を向け……てる奴等前に出ろブッ殺す。





「オイ高尾、いい加減に……」

「やぁっ、だめです宮地サン……っオレには真ちゃんが……!」

「何ちょっとエロい声出してんだバカ尾。緑間も黙って見てねーで何とか言え!」

「……宮地サン、高尾の初彼ユニは頂きました」

「バッカオマエまじふざけんな?そういうコメント求めてんじゃねえよあとドヤ顔ヤメロ」





にっこり微笑んで告げればさすがにふざけすぎを理解したらしい。
面白くなさそうにユニフォームを脱いだ高尾が唇を尖らせる。





「宮地サンが彼シャツとかさせてくんないから真ちゃんで妥協してたのに……」





オレにしか聴こえない程度の声量で、確かに、そう呟いた。





「……は?なにオマエ、そーゆうのしたかったの?」





意外すぎる事実に咄嗟にそう返せば、上目遣いのまま。





高尾の唇が、動く。








「だって、宮地サンの匂いに包まれるとか……考えただけでも幸せじゃないですか!」








無邪気に笑う顔と、扇情的な舌先のギャップに。



オレは未だに戸惑っている。








(とりあえず近い内に、オレのシャツ着せてみようと思う)






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