after1
「しーんちゃん、」
たった1ヶ月程聞かなかっただけで、随分懐かしいような気がしたその呼び名。
オレのことをこう呼ぶのはアイツしかいない。
「高尾……?」
それでも疑問系になってしまったのは今のアイツはオレをそうは呼ばないからだ。
この1ヶ月。ほんとうに出会った頃のような、オレを探る視線しか向けてこなかったはずの高尾。
だが今は、違った。
「おまたせ」
「あと、待たせてごめん」と告げるヤツは、オレのよく知る笑みで。
「ね、真ちゃん!」
手にしていたボールを迷わず高尾へと投げる。
走り出したその動きに自然と身体は動いていた。
放たれるパスは、そのまま。
オレのスリーへと繋がる。
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