(十六)








「おはよ、高尾っち!超快晴っスね!」

「おはよう黄瀬くん。ほんときもちい程晴れたねー」

「オレ、高尾っちと同じチームがいいっス!」





ストバス当日。

今日来る人のことは前以て聞いといたから、チーム分けではどのメンバーに当たろうと大丈夫。
にしても人数わりといるよな、と辺りを見渡してたら、目が合った黄瀬くんがこっちに駆け寄ってきてくれた。

病院にいる頃から何度か会いに来てくれてた彼とは、結構フツーに話せて。嬉しいこと言ってくれる彼に「オレも黄瀬くんと一緒の、」と言いかけたところで不意に頭に重みがかかる。





「気安く絡んでんじゃねーぞ金髪モデルが」

「ちょ、アンタも金髪じゃないっスか!!」

「み、宮地サン?」





オレの頭に腕を乗っけるのは、ここまで一緒にやってきた宮地サン。
今日も当たり前のように迎えに来てくれたから、近くにいるのが自然すぎて忘れてたとかそんなんじゃない。決してない。

こっちを見下ろす宮地サンに、へらりと笑い返す。





「っていうか、」





そんなやり取りをしている間に、頬を膨らませた黄瀬くんが恨みがましそうな目で宮地サンを見つめて口を開いた。



そして、オレにとって、衝撃的すぎる言葉が紡がれる。










「アンタはいっつも高尾っち独占してんだからこういう時くらい自重して欲しいんスけど!」





「へ?」

「……ッ、」

「いくら彼氏だからって、あんま束縛激しいと嫌われブフッ!」








「てめえ、黙れ、轢くぞ」








険しい横顔。



黄瀬くんの口を塞ぐ掌。





静かな、声。








いま、黄瀬くんは、なんて言った?















『明日、楽しみにしてますからっ』





『るせー……っ、さっさと寝ろ!』





『……宮地サン。約束、ぜったい、忘れないでくださいね』





『……わかったから、さっさと寝ろって。もう切るぞ』





『はい、おやすみなさい、宮地サン』





『おー。“また、明日”な、高尾』










ぐわん。









オレの脳のどっかが、大きく脈動した気がした。











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