(十一)








体が鈍るのも不味いし、記憶が戻る切欠になるかも知れないからってことで、オレは翌日から部活に参加することにした。
春休みの間は、卒業した先輩たちも練習を見に来てくれるらしい。
のは良かったんだけどさ。








「高尾ォ!!ダレてんしゃねーぞ!!!」





「……え…はっ…はぁ、ちょ、みど、りま、……あの、地獄からの使者、みたいなひと……だれ……っ?」

「……は、……オマエは、も、う、会っただろう……っ、あれが、現代に……蘇った、鬼っ、なのだよ……っ」





「オイコラ三年が練習中に私語とはイイ度胸だなぁ、ああ?」








こないだオレのこと慰めてくれたのは幻だったのか。

部活の宮地サンまじ鬼だった。

とりあえずオレ病み上がりなんすけど、とか言い訳しようもんなら多分ぶっころされる。



基礎練の時点で既にへばりそうだ。入院のせいで体力が落ちたのかもしれない。
自主練の時間増やさねーと。



そこまで考えて、ふと気づく。
無意識に考えてた内容はもう、バスケが中心。
なるほどな、と。





『オマエは気負わず自然にしてたらいい』





あの日別れ際に宮地サンに告げられた意味が少しだけ分かった気がした。








「高尾ォ…?ボーッとしてるなんざ随分ヨユーだなぁ、もうワンセット行っとくか?」

「すみませんでした」








慌ててコートに走るオレを見送って、宮地サンが笑ってたなんて。
オレは知るよしもない。











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