(※社会人if)
アルコール、好きで飲んでも、のまれるな。
どっかの標語が頭を過った。
目の前には、明るい色。
近くで見るとほんと蜂蜜みたいにきらきらと輝いているのがわかる。
しかし現状から言うとそんなの暢気に見ている場合じゃない。
どちらともなく漂うアルコールの匂いが鼻についた。
「み……宮地サン?」
「あ?あんだよねてれーぞこら」
「ぶっ!ちょ、宮地さ、呂律……!!」
イマイチ前後不覚っぽいんだけど大丈夫なのこの人。
二人ソファに座ってた状態で、のしかかりを仕掛けてくる宮地サンはそのままオレの首筋にすり、と鼻を擦り付ける。
くすぐったいのと恥ずかしいので身を竦ませるけど、いまのこの人に何か言ったところでたぶん通用しなさそう。いや間違いなく通じない。
「んーぅ……」
「ヒィッ」
鎖骨のあたりをぺろりと舐められ変な声がでた。
その声に反応したのか宮地サンがいきなり顔を上げる。
「にゃんだーたかおーてめえひぃってなんだひくぞー」
「もうやだ何この可愛い生き物」
これムービー撮っといたらダメかな。
そもそも、あんまり酒強くないならなんでオレと宅飲みしようなんて思ったんだこの人は。
ああとりあえずどうしたものかと悩んでいたら、また肩口へと顔を埋める宮地サン。
「たかおー」
「はいはい高尾くんですよー」
「すきだー…くっそかわいいんだよオマエはー…」
「えええ」
「オレいがいのとこ、いかせねえから……」
「……っ」
するりと頬を撫でたその指と、その瞳があまりにも甘くて。
何か、たぶん、オレも酔ったんだと思う。
誘われたままかぶりと薄い唇に噛みつくようにキスをしたら、ニヤリと笑われた。
「こんやはねかしぇねえ」
「ブフォ!呂律!ちょうしまらねえ!!!」
(夜はどうやらこれからみたい)
(13/8/16)