いつまでも笑っていよう。
キミの隣で笑っていよう。
オレの傍らに座った真ちゃんが重ねた掌にキスをして、静かに言った。
「オレたちの出会いは運命だったのだよ」
どんなロマンチストだよって笑ったけどさ。
その温もりが、優しい言葉が。ほんとはすごく嬉しかったんだよ。
「オマエは、今……幸せか?」
不意に真ちゃんがそう尋ねたから、オレはいつもみたいに笑った。
「オレの世界は、皆のそれよりもちょっとだけ広く見えててさ。
だからオレは誰よりも先に真ちゃんを見つけられたし、真ちゃんの表情の変化ひとつにだっていち早く気づいてたでしょ?
相棒として隣に立つことすら、誇らしくて……恥ずかしいから言えなかったけど……いやほんとだって!
嘘でこんなこと言わないから。
だけど今はね、もっと幸せなんだ」
頬に触れる真ちゃんの綺麗な指を感じる。
あったけえなぁ、って思う。
「高尾、」
「ん?」
聞こえる声に滲んだ優しさに気づいたのはいつからだったのかな。
ずっと手が届かないと思ってたのに。
いつの間にか近くに、傍にいてくれた真ちゃんが。
かけがえのない存在だと気づいたのは、いつだったのかな。
そっと手を伸ばしたら、抱き締めてくれる。
「真ちゃんがさ、こうやって、傍にいてくれるから」
オレはきっと、世界一の幸せ者なんだよ。
そう言えば、すぐそばの空気が揺らいで。真ちゃんが微笑んだのがわかった。
「オマエが望むのならきっと、ずっと、傍にいるのだよ」
オレの目に映る世界がね、たとえこのまま静かに色を失ったとしても。
キミが隣で光をみせてくれるから。
オレは、いつまでも笑っていよう。
(8/11)