(※帝光キセキ)
(※緑赤…赤緑?)
「遠慮するな」
「オマエこそ、遠慮しなくてもいいんだよ」
「別にオレは遠慮などしていないのだよ」
「はいはい出ました真太郎のツンデレ」
……ぱたん。
部室のドアの向こうは不思議な国でした。
現実逃避して今日は部活休もうそうだそうしようと振り返ったら、青峰君とぶつかった。
「テツ何してんだ?忘れもんか?」
「青峰君、今日はボク部活休みます」
「あ?オマエ、どっか具合わりいのか?」
「ちょっと心に深い傷を……」
「は?」
邪魔です退いてください帰ります。そう言いたいところを我慢して青峰君と相対していたら、彼の後ろから現れた金髪がボクの横を当たり前のように通り過ぎた。
「黒子っちに青峰っち部室前で何喋ってんスか?先に入るっスよ!」
あ。そのドアを開け、て、は
「真太郎の膝はかたすぎる。やはり代わろう」
「断るのだよ。それではいつもと同じだろう!」
「……ボクの膝にはもう飽きたのか?」
「そんなことはない!ただ……いつも赤司、オマエには色々とムリをさせているからたまにはオレがと……」
「フッ、そんなことを気にしていたのか。いいんだよ、ボクはオマエという存在そのものに癒されているからな」
「!赤司……」
……ぱたん。
静かに扉が閉ざされ、ふぅ、と一つ息をついたあと。黄瀬くんが信じられないほど美しい笑顔でこちらを振り向いた。
隣で青峰君がビクリと体を震わせるのがわかる。いや、ボクも震えた。
黄瀬くんが、美しいなんて。
「オレ、幻覚が見えるほど疲れてたんスね……帰るっス」
去っていく彼を引き留める術を、ボクたちは持っていなかった。
そして入れ替わるように現れた進撃の……いや紫の巨……いや紫原君。
並んで立ち竦むボクらを後目に彼は再び破壊してしまった。その禁断の扉という壁を。
「赤司……すまない……」
「真太郎、オマエまさかボクを膝枕して反応したのか?……可愛い奴め」
「こっ、これは……!」
「フ、……今日は特別機嫌が良いからな。口でしてあげよう」
「あ、赤……っ」
……ぱたん。
無言のまま此方に向き直った紫原君は至って冷静に見えた。
そう見えた。だけだった。
「黒ちーん、オレお菓子のお家帰んなきゃだから部活休むって赤ちんに言っといてー」
そうしてまた一人。
この場を後にすることになる。
「……。テツ」
「……。何ですか青峰君」
「マジバでアイス食わね?」
「イイですね」
どちらともなく、校門へと歩き出したボクたちが背にした扉の向こうで。
緑赤緑祭が始まっていたなんて、知るよしもないというか知りたくもない。
(あ、テツ珍しいのな。オマエがバニラじゃねえの)
(白い飲み物を飲む気分じゃないので)
(……)
ひなちゃんwww
何か色々とごめんなさいwww
(13/7/23)
ハチ
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