「おまえ、リボン曲がってる」 「えっ?」 「胸元。制服なんだから、きちんと着ろよ。お客さんって、結構そういうとこ、見るんだからな」 「う、うん、ごめんね。いま直すね……」 「…………ああもう、余計曲がってるじゃん」 「ごめん……鏡がないからよく分からなくて」 「貸して。結んでやるから」 「えっ、い、いいよ……!」 「いいから。おまえに任せてると、いつまでかかるか分かんないし」 「ごめんね……」 「……鏡なしでも、一人で結べるようにしとけよ」 「うん、練習するね」 「……っていうか」 「?」 「なんで、俺がおまえのリボンなんか結んでやってるんだよ。普通、逆だろ」 「………………」 「ほら、出来た。次は自分でやれよ」 「うん。……ねえ、佐伯くん」 「何?」 「わたし、練習、ちゃんと頑張るから……」 「? ああ、うん、頑張れよ」 「だから、ちゃんと結べるようになったら、佐伯くんのネクタイも……」 「えっ」 「その、結ばせてほしいな〜、なんて……」 「………………」 「ごめん……イヤ?」 「や! イヤ、じゃない……!」 「ホント?」 「うん……。その、いつか、お願いします……」 「うん!」 「ああ、うん。練習、頑張れよ?」 「うん、頑張るね」 2011.11.29 *なんぞこれって思わなくもないですすすすす; (※お蔵入りバージョン) <-- --> |