27.ネクタイ



「おまえ、リボン曲がってる」
「えっ?」
「胸元。制服なんだから、きちんと着ろよ。お客さんって、結構そういうとこ、見るんだからな」
「う、うん、ごめんね。いま直すね……」
「…………ああもう、余計曲がってるじゃん」
「ごめん……鏡がないからよく分からなくて」
「貸して。結んでやるから」
「えっ、い、いいよ……!」
「いいから。おまえに任せてると、いつまでかかるか分かんないし」
「ごめんね……」
「……鏡なしでも、一人で結べるようにしとけよ」
「うん、練習するね」
「……っていうか」
「?」
「なんで、俺がおまえのリボンなんか結んでやってるんだよ。普通、逆だろ」
「………………」
「ほら、出来た。次は自分でやれよ」
「うん。……ねえ、佐伯くん」
「何?」
「わたし、練習、ちゃんと頑張るから……」
「? ああ、うん、頑張れよ」
「だから、ちゃんと結べるようになったら、佐伯くんのネクタイも……」
「えっ」
「その、結ばせてほしいな〜、なんて……」
「………………」
「ごめん……イヤ?」
「や! イヤ、じゃない……!」
「ホント?」
「うん……。その、いつか、お願いします……」
「うん!」
「ああ、うん。練習、頑張れよ?」
「うん、頑張るね」


2011.11.29
*なんぞこれって思わなくもないですすすすす;

(※お蔵入りバージョン)
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