*在学中、冬の帰り道のお二人さん。 「スラ●ム肉まん、売り切れかあ……」 「残念だったな」 「うん、残念……食べてみたかったのになあ」 「中身は普通の肉まんなんだろ? じゃあ、代わりに肉まん頼めば済む話だろ。すいません、肉まん二つ――」 「ま、待って!」 「なんだよ?」 「もうちょっと、考えさせてほしいなあ……」 「何でだよ。あの青い肉まんが食べたかったんだろ? なら、肉まんでいいじゃん。何を悩むことがあるんだよ」 「佐伯くん分かってない! あれはただの青い肉まんなんかじゃないよ、もっとこう、夢とロマンとときめきが詰まった……」 「はいはい…………まぁた面倒くさい話が始まったよ……」 「面倒くさくないよ、ロマンだよ!」 「はいはいロマンな。で? 結局どうするんだ。肉まん、やめるのか?」 「………………やめない。ただ……」 「ただ?」 「………………あんまんもおいしそうだなあって」 「……あれか。肉まんとあんまんで迷ってる、とか?」 「うん、そう」 「夢とロマンとときめきどこ行った」 「ぐうの音も出ません」 「ずっとそこで悩んでろ。すいませーん、肉まんひとつ」 「ま、待ってよぉ!」 「(何でもいいから、早くしてくんないかなあ……)」(※コンビニ店員さん) ・ ・ ・ 「あったかいねえ」 「そうだな。うまいか?」 「うん!」 「よかったな。……ニヤニヤすんな」 「佐伯くんだって、ニヤニヤしてる」 「してない。だから! ニヤつくな!」 「ねえ、一緒に買い食いしてるね」 「それがどうかしたのかよ」 「チョビちゃんや氷上くんに見つかったら怒られちゃうね」 「そこまで分かってて、何で人のことコンビニに誘った」 「うーん……一番は、ス●イム肉まんが食べたかった、かな」 「あー、そう」 「だけど、佐伯くんとこうして一緒に肉まん食べてみたかった、っていうのも、大きい、かな?」 「…………そんなことの何が楽しいんだか」 「楽しいよー。帰りに一緒に寄り道して、冬の肉まんとか、夢とロマンでいっぱいだよー」 「ふうん、夢とロマン、ね」 「うん、夢とロマン、だよ」 「あの青い肉まんが買えなくても?」 「うん、青い肉まんが無くても」 「……よく分かんないけど、よかったな」 「うん、よかった」 「ところで、な」 「うん、何?」 「さっきから俺の口元と手元をちらっちら見てる気がするんだけどな、もしかして俺の気のせいか?」 「……バレた?」 「バレバレだよ」 「……えーとね、肉まん、おいしそうだなあ〜、なんて」 「……やっぱりか」 「えへっ」 「ったく、最初っから肉まんにしとけば良かった話だろ……」 「あんまんの魅力には抗いがたかったんです……」 「肉まんもな。一口ほしい?」 「いいの!?」 「………………タダではやらん」 「えーーーー」 「タダより高いものなんて無いんだよ。そうだな…………可愛く“お願い”って言えたら、考えてやらないでもない」 「……佐伯くんのけちんぼ! オニ! アクマ! オヤジ!」 「……なっ! 言いすぎだろ! 俺はただ…………つーか! 最後の酷くないか、おまえ!」 「酷くないよ。酷いのは佐伯くんだよ。もう……」 「な、なんだよ…………」 「……佐伯くん……肉まん、一口だけ、欲しいなあ……ダメ?」 「………………」 「………………」 「………………」 「…………さ、佐伯くん、あの、黙られちゃうと、その、流石に居たたまれないよ……そんなに、可愛くなかった?」 「………………いや、可愛くないこともなくもないってゆーか、その、むしろ、その、うん…………わ、悪くなかった……」 「えっ」 「上目づかいの勝利だな。ほら、一口やるから」 「やったー! ありがとう!」 「一口だけだからな?」 「分かってるよ。いただきまーす」 「………………」 「あー、やっぱり肉まんはおいしいねえ。……あれ?」 「何だよ。早く返せよ」 「うん。あのね、佐伯くん」 「何?」 「これって、もしかして、間接キ……」 「ああもう! 言うな! それ以上言うな!」 「さ、佐伯くん、顔赤いよ!?」 「寒いからだよ!」 「でも、急に……」 「いいから、早く食べて帰るぞ!」 「(……佐伯くん、照れてる?)」 2011.12.14 *お粗末さまーでした! *二人が在校中の頃はまだス●イム肉まん未発売ではあるのですががが;; <-- --> |