「これやるから、持っとけ」 「なあに? 折りたたみ傘? いいの?」 「あると便利だろ」 「でも、どうしてくれるの?」 「別に……それ持っとけば、急に雨に降られても大丈夫だろ。だから、おまえにやる」 「いいの? 何だか悪いなあ……」 「気にすんな。余ったやつなんだから」 「ありがとう、佐伯くん」 「ああ、うん…………あのさ」 「うん?」 「このあいだ、放課後にさ、雨降ったときあったろ?」 「うん……あった、かな?」 「そんときさ、おまえ、雨宿りとか、してた?」 「え? うん、ちょっと止むまで待ってようかなあって思って……」 「ふうん?」 「?」 「…………」 「……佐伯くん」 「……なに?」 「もしかして、心配してくれたの?」 「! そ、そんなこと!」 「…………」 「…………」 「佐伯くん」 「な、なんだよ?」 「傘、ありがとう」 「あ、ああ…………それ、大切にしろよ?」 「うん、大切にする」 「いつも鞄に入れて持っておけよ?」 「そうだね。折りたたみ傘だもんね」 「ホントだぞ?」 「うん」 「……おまえウッカリだから、心配なんだよ(ぼそり)」 「え、なあに? 佐伯くん?」 「何でもない! とにかく、忘れんなよ。今日の話!」 「うん、忘れないよ」 2011.03.10 (*ユッキーとの遭遇イベントを偶然見ちゃって心配サエテル、とか) (*ちなみに別バージョンもあります) <-- --> |