11.雨宿り(没ったー)



「これやるから、持っとけ」
「なあに? 折りたたみ傘? いいの?」
「あると便利だろ」
「でも、どうしてくれるの?」
「別に……それ持っとけば、急に雨に降られても大丈夫だろ。だから、おまえにやる」
「いいの? 何だか悪いなあ……」
「気にすんな。余ったやつなんだから」
「ありがとう、佐伯くん」
「ああ、うん…………あのさ」
「うん?」
「このあいだ、放課後にさ、雨降ったときあったろ?」
「うん……あった、かな?」
「そんときさ、おまえ、雨宿りとか、してた?」
「え? うん、ちょっと止むまで待ってようかなあって思って……」
「ふうん?」
「?」
「…………」
「……佐伯くん」
「……なに?」
「もしかして、心配してくれたの?」
「! そ、そんなこと!」
「…………」
「…………」
「佐伯くん」
「な、なんだよ?」
「傘、ありがとう」
「あ、ああ…………それ、大切にしろよ?」
「うん、大切にする」
「いつも鞄に入れて持っておけよ?」
「そうだね。折りたたみ傘だもんね」
「ホントだぞ?」
「うん」
「……おまえウッカリだから、心配なんだよ(ぼそり)」
「え、なあに? 佐伯くん?」
「何でもない! とにかく、忘れんなよ。今日の話!」
「うん、忘れないよ」



2011.03.10
(*ユッキーとの遭遇イベントを偶然見ちゃって心配サエテル、とか)
(*ちなみに別バージョンもあります)
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