好きだ!うそだ! #4


ぽつぽつ、と顔を俯けながらあかりが説明した。

「最初は、本当にカクテルかと思ったの。間違えて飲んじゃったんだって。そしたら、本当にお酒を飲んだみたいなふわふわした気分になって……」
「“プラシーボ効果”ってヤツだな」
「針谷、意味分かって言ってるのか、それ」
「……分かってるに決まってんだろ! ……え、使い方、間違ってるか?」
「いや、当ってる」
「なら、いいじゃねーか!」
「お前が言うと不正解に聞こえるんだよ」
「うるせえ!」
「つーか、あかりの話聞けよ」
「……おまえが言い出したんだろーが!」
「それで、あかり、何でだ?」
「うん、最初は酔った気分だったんだけど……すぐ、ノンアルコール飲料だって気づいたよ」
「佐伯より冴えてるな」
「針谷ウルサイ。気づいたのに、何で、酔っ払ったフリしてたんだよ」
「ちょっと、瑛くんのこと、からかいたくて……」
「いい心構えだぜ、あかり」
「針谷、ウルサイ。あと、あかり。あとでチョップの刑な」
「でも瑛くん、全然気づかないんだもん……! 途中で気づかれちゃうかなって思ったのに、全然……」
「だ、だからって、あんなこと、言いだされたら慌てるだろ!」
「だって瑛くん、何だか怒ってるみたいだったから……」
「……ほら見ろ、不機嫌ぼっちゃん。テメェのせいだ」
「ウルサイ。別に、怒ってなんか……」
「せっかく一緒に過ごすことが出来て、途中まで楽しかったのに…………どうして、あんな風になっちゃうのかなあって、思って……」
「………………」
「わたしはただ、瑛くんと一緒にいられたら、すごく楽しいから……だから、仲直りしたくて…………」

苦しげに言ってあかりは口ごもってしまった。本当は酔っ払っているんじゃないか、って思うくらい顔を真っ赤に染めて。
言うまでもなく、そんな訳は無いって分かっていた。
だけど、こんな形の告白は無いんじゃないかと思う。泣きそうな顔で俯いてる当人に、そんな台詞は言えなかったけど。


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