揺れるしっぽに首っ丈の彼 | ナノ

またもや同じことをやらかしちゃいました。


 現在、私は生徒会室にて仁王くんの前で柳くんに土下座をさせられている。おかしいな、高校2年の男子生徒が女子生徒に土下座させてるぞ?軽くイジメで訴えることできるくない?

「で、苗字は仁王にその写真をくれてやったと?」

 顔を上げると、そこには目をかっ開いてこちらを見下ろしている柳くん。
 すみません、すみませんってば!!!!!

 とまあ何回謝ったかわからないくらい謝って、ようやく私はソファに座って食事をとることが許された。頭も幾度となく叩かれてマジで痛い。仁王くんがよしよししてくれたけど君さえ写真を利用しなきゃこうはならなかったんだよ!!
 私はむすっとして手を振り払う。

「優しくしたって無駄だよ!仁王くんのせいだからね!!」
「まあまあそう怒りなさんな。落ち着きんしゃい、名前ちゃん」

 とつぜん名前で呼んでくる仁王くん。

「名前呼ばれたって私の機嫌は直りませーん」

 つんっとした態度を取ると悲しげに眉を下げられた。
 なにその表情、かわいい……許しちゃ……わないです!騙されません!

「絶対にその顔、作ってるでしょ。詐欺師め!ふんっ。この私は落とされないんだから」

 私はお弁当を開いて黙々と食べ始める。

「すまんかったって、名前ちゃん。俺も2人の輪に入りたかっただけなんじゃ」

 私の腕を掴んで揺すりながらそんな可愛いことを言う。隣を見れば、本当に悲しそうにしている彼がいる。ああ、仁王くん可愛いなあ!もう!クールだと思ってたのにそのギャップは駄目です!
 キャラ作っているとか作っていないとかこの際いいや。

「私は全然いいけど、柳くんは?」
「仁王もその界隈の話がわかるならいい。それで、本当なんだな?」
「おん、もちろんじゃき。ギャルゲーはあんませんがゲームはようやるぜよ。じゃって俺、ゲーム実況者やけんのう」

 それから詳しく話を聞くと、『マサ』(思ったより普通の名前なんだってことにびっくり)という名前で中学生の時からネットで活動しているらしい。中学の時は『泰西Project』という弾幕シューティングゲームを中心にやっていたらしいが、最近は様々なゲームをやっているらしい。
 私も柳くんもゲームの実況はあまり見ないので知らないが、一応それなりに名のある実況者らしい。

「トカロも聴くし、アニメは全般見とるよ。ソーシャルゲームもわりと」
「そうなんだ、ゲームは何が好きなの?」
「最近はじゅえる少女にハマっとる」
「なんだってー!?」

 私は目を輝かせて仁王くんに詰め寄った。

「私もやってる!誰が好き?」
「アクアマリンちゃんやの」

 その子はツインテールのクーデレちゃんで、私も大好きなキャラの1人だった。そのため私の気分は一気に最骨頂。

「いいねいいねえ!私も好き!でもローズクォーツちゃんのほうがお気に入り!」
「ローズクォーツちゃんもええよのう。ツインテールはやっぱかわええ」
「ああー!仁王くんわかってるー!柳くんはポニーテール好きだからぜんっぜん分かってくれなかったの」

 ね?って柳くんに話を振れば不満そうにお茶を飲んでいる。水筒から口を離すと、あたかもこれが公理だという風にきっぱりと言った。

「ポニーテール以上に至高なものがあるわけないだろう。絶対にポニーテールが一番だ。そこは譲らん」

 仁王くんが、鳩が豆鉄砲でも食ったような顔をしている。そりゃいきなりこんなキャラの柳くんを見たらギョッとするよね。

「ほう、参謀はポニテフェチか……意見の相違じゃな」
「何を言う?ポニーテールの良さを知らないなんて人生の10割を損しているぞ
「それ100%だよ!?」

 すると、仁王くんが耳元でこそっと聞いてきた。

「参謀っていつもこんなんなんか?」
「ひどいときはもっと凄まじい変態」
「おおう、重症じゃな」

 すると私たちの前に柳くんが立ちはだかった。そして2人の頭をパンッパーンッ!と思い切り叩いた。

「いてっ」「いたっ」
「聞こえているぞ、お前ら。誰が重症だ。仁王も苗字のノートを見てから言え」

 すると、仁王くんはけろっとこう言い放った。

「俺、名前ちゃんの描いたテニス部のBL漫画ほとんど読んだぜよ?」

は?

「ハハッ、その驚いた顔ええのう」

 いやいやそんなことより何で?柳くんとの事件があった以降はあのノートって学校に持ってきてないよ?本当に何で?

「フッ、ピクサブで読んだ確率100%……そうだろう?」
「そうじゃ。前から気になっとったんじゃが、名前ちゃんからもろたイラストを見て確信したぜよ。まあ、そもそも俺みたいな高校生はあんまおらんからのう、あんなやつが漫画におったらびっくりするナリ」

 いやいやそもそも何でBL漫画を読む機会があるんだよ。もしかして腐男子か?腐男子なのか?って思ったや否、柳くんが私の考えを否定した。

「苗字は仁王を腐男子ではないかと疑っているようだが、それはない」
「そうじゃな、俺にその趣味はないぜよ。じゅえる少女じゃ」

 じゅえる、少女……?

 あああー!!!そういうことか!!デジャヴ!!!!!

 確か柳くんの時もギャルゲーの女の子描いていたせいで漫画見られたんだった……私馬鹿かよ。2度も同じことやらかすとか……。
 そういや最近よくじゅえる少女のイラストアップしてる。
 いい加減、アカウントわけようかな……。

 頭を抱えていたら仁王くんがポンっと私の肩に手をやった。女の子イチコロな笑みを浮かべて言った。

「ま、とりあえず2人ともこれからよろしくナリ」

 私と柳くんは互いに顔を合わせる。自然と嬉しげに顔が綻んだ。

「ふふっ」

 何だかんだ、さらに楽しくなりそうな予感だね。

******
あとがき
 2章突入です。仁王が加わり3人でワイワイしたいと思います。
(~20180722)執筆

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