Other | ナノ


▼ Happy Birthday!

妹に誕生日プレゼントは日吉君の夢小説がいいと言われて書いたものなので、
誕生日の表現がございます。
しかも日吉君の口調やキャラをあまりわかっていない…
それでもいい方は読んで下さい。
*****


梅雨もそろそろ開けるかと思われる7月中旬。暑さが厳しくなる頃でもあり、一人の少女は手をかざして恨めしそうに空を見上げた。
「はぁー暑い…」
よたよたとドリンクを持ってコートまで歩いて行くと、ちょうど休憩入ったようだった。
「梅雨開けしてないのに、雨降ってないってどうゆうことよー!」
「うるさい、馬鹿。梅雨前線はまだあるんだよ」
手元から荒くドリンクを取りながら罵声を浴びせたのは日吉若。いつも酷いことばかり言ってきて、このあいだなんて、見ていてイライラするとまで言われた。きのこのくせに…と呟くと、何か言ったか?と睨まれた。
「はぁーもう…海の日で祝日なのに何で部活あんの?いじめ?」
「大会が近いからに決まってるだろ。つーかマネがそんなこと言うなよ」
「でかけたかったんですー」
口を尖らせると、あっそと言いたげな顔をして何処に?と聞いてきた。
「もちろん買い物だよ」
「あっそ」
うわぁ、本当に言いやがったよコイツ。自分で聞いてきたくせになんなの。
「も〜アホ部部長〜!日吉が酷いんです!」
近くにいた俺様ナルシ部長に助けを求めるが、この人を選んだ私が馬鹿だった。
「あーん?俺様をアホ呼ばわりする奴が悪い」
「いや、それ関係ないです!」
まるで、世界は俺様を中心に回ってるんだぜ!みたいな顔で、しかも、あたかも当たり前かの表情で言ってのける部長。まあ、彼らしいと言えば彼らしいががねぇ…。
「苗字、俺がいるやん?」
いきなり会話に入ってくる忍足先輩。偶に際どいことを言うが、何処から何処まで冗談なのか知りたい。
「あ、そうですかー」
無難に返事をして、次は誰に話しかけようかと考えているとバシッと後ろから衝撃が走る。振り返ると日吉がしかめっ面でドリンクを差し出してきた。
「ちょ、叩かないでよ…もう…」
私がドリンクを受け取った途端に、話も聞かずにテニスコートへ行ってしまった。
「よくわかんないなあ」

*****

日吉の様子が今日は変だった。普段は一人でいるときはむっとして近付くんじゃねえよというオーラを放っているが、どこか上の空で溜め息ばかりついていた。気になって、どうしたの?と聞くとお前には関係ないと言われた。きついのは今日も今日とて変わらないが、おかしいのは事実。うーん、と唸っていると跡部部長が声を掛けてきた。
「うーうーとうるせーぞ」
「…跡部部長は日吉の様子が変な理由分かりますか?」
「俺様をなめてんのか?あーん?」
やはり、この人に聞く私は馬鹿なのだろうかと思った瞬間、 頭をつんと突かれた。
「もう少し待ってろ」
見上げると、とても真剣な顔をしていた。冗談で言っているわけでもなさそうなので頷くと、跡部は去って行った。
「…偶には頼りになるのかなあ……?」
疑問系なのは、普段があれだからだ。まあ、言わなくとも分かるだろうが。

*****

私は正直のところ日吉が好きだ。いつもつんけんして暴言を吐くが、根は優しいやつで、いざとなれば助けてくれるし、落ち込んでいれば遠回しだが元気付けてくれるときもあった。しかし、日吉は私のことをどう思っているのだろう?最近、そのことが気になって仕方がないのだ。恋するって大変だなあ、と思いながら部室のドアを開けると日吉と忍足先輩が話していた。
「日吉、今日はえらい急いでるやんか。どないしたん?」
「少し、出掛けるとこがありまして…では、さようなら」
日吉は荷物を抱えて、そそくさというように横を通り去った。
「日吉…無視してなかった…」
いつもなら、忍足先輩の質問なんて関係ないじゃないですかと言うか、もしくは完全にスルーする日吉がしっかりと質問に答えていた。やはり、今日の日吉はどこか変だ。それから、私はとあるデパートで髪留めが切れてしまったのであれこれと探していた。
「……どれにしよ…」
黒色は無難でいいけど、偶には違う色も良いかな。そういえば、日吉の好きな色って何だっけ?確か、特にないんだっけ?え、本当にどうしよう。
「…これでいっか」
最終的に選んだのは白色。理由は日吉が清楚な女の子が好みだから。白色って清らかなイメージあるよね?うん、きっとそうだ。明日、何か言ってくれるかなあ、と思いながら店から出ようとすると、近くの雑貨屋に日吉がいるのが見えた。何故、その行動をとったかはわからないが私はすぐさま近くにの物陰に隠れてしまった。とりあえず、恐る恐る日吉のほうを見ると白い花の髪留めを持っていた。
「え…?」
勿論、自分の物として買うわけではないだろう。なら、あれは誰に渡すのだ?もしかして好きな女の子でもいるのか?ぐるぐると色んな感情が渦巻き、気づけば私はそこから走り去っていた。家について、部屋まで駆け上がると布団にダイブする。
「嘘…嘘でしょ?…日吉って好きな子…いるの?」
もう、私に振り向いてくれることはないのかな。そう思うと辛くて涙が出てきた。
「ふぇっ…ぅっ……!」
暫く泣いていると、あることに気づいた。さっき、買った髪留めがないのだ。
「…あれ?…ない…もぅっ、折角、買ったのに…」

*****

次の日、私の気分は最悪だった。日吉と顔を合わすと泣いてしまいそうなので、朝練は調子が悪いと言って休み、教室からも極力は出なかった。友人から誕生日おめでとうと言われて、初めて今日が自分の誕生日だということを思い出した。しかし、そんな気持ちにはなれずに精一杯の笑顔でありがとうと返すだけだった。授業も全て終え、先生が帰りの挨拶をして皆が一斉にさようならと言った途端だった。教室の前の扉が勢いよく開かれ、クラス中の視線がそこへ注がれた。
「日吉…?」
ずんずんというようにこちらへ歩いてきて、私の手首を取って引っ張った。
「行くぞ」
そのまま、無理やり部室まで連れて行かれた。私、何かしたっけ?と思いながら横目で日吉を見れば、何か言いたげな顔をしていた。私としては昨日のこともあったので、部室に二人きりというのはとても気まずくて声を掛けるに掛けられない状態だった。
「…………」
沈黙が続く。そろそろ、私から何か言ったほうがいいのかと思い、口を開こうとすると、日吉が目の前に小さな紙袋を差し出してきた。
「これ、苗字にやるよ」
「え?」
「いいから、受け取れ」
そっと紙袋を開けると、そこには昨日、日吉が手に持っていた髪飾りがあった。嘘…まさか、私にくれる物だったなんて…。口元を手で押さえて心底、驚いてると更に驚くべき言葉をかけられた。
「その……誕生日…おめでとう」
あの日吉が、誕生日を覚えてくれていたなんて思っていなかった。
「あ、ありがとう……そうだ、これ今つけていい?」
「もう苗字の物だろ、勝手にしろよ」
そう言った日吉の頬は少し赤らんでいて、こちらまで恥ずかしくなってきた。少し視線を外しながら髪を結い、一か八かでどうかな?と感想を聞いてみる。
「俺はわざわざ似合わない物を買ったりしねえよ」
遠回しに似合ってると言われているのだと思うのは自意識過剰なのだろうか。
「「あと…」」
同時に喋りだしてしまい、慌てて日吉から話して!と促した。
「……俺は名前のことが好きだ」
え…日吉が私のことを?本当に?あまりにも急な告白に思考回路が一旦停止しそうになり、話について行けない。
「だから、俺と付き合ってくれないか?」
ちょっと待って。そんな早く話を進めないでよ。ひとまず落ち着け自分。そうして一呼吸置いて喋りだす。
「本当に私なんかでいいの?」
「苗字じゃなきゃ駄目なんだろ…ってこんなこと言わせんじゃねーよ」
そっぽ向く日吉はまた頬を染めていた。
「ふふ…私も好きだよ」
そう言うと、日吉は視線をこちらに戻して頬に手を添えてきた。
「今日から名前は俺の女だな」
そして、そっと唇が重なった。


(ずっと、お前しか見えてなかった)


*****
あとがき
妹、前日に書いてと言ってきたんですよ・・・
せめて3日前 にしろやああああ!!一日でかくのむずいんだぞ!
でも今日中 にしっかり書いてあげた私って優しいお姉ちゃん←オイ
しかしながら、最後の方やけくそでかいた(笑)
前サイトにて記載

prev / next

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -