『先輩、うぇでぃんぐどれすという物はどんな物なんでしょうか。』 「は?お前、今何言った?平仮名すぎてようわからんかったわー」 『ですから、うぇでぃ…』 「せやから、その平仮名をどうにかしろ言うてんねん。これやと、読者様方が読みにくくなるやろ。」 『申し訳ありません。先ほど私の級友が申していまして…』と長々しく話すこいつを放っておいて先に歩いた。 それでも、歩幅を合わせ話しながらついてくる。 『という訳で、千木良先輩。ウェディング、どれすというものを着ていただけませんか?』 「は?なんでこの俺がそんなもん着る必要があるんや。」 それに俺でもウェディングドレスという物はわかる。 人間が婚礼の時に女だけが着るものだ。 それぐらい俺にだってわかる、せやけどこいつはウェディングドレスの事をどう解釈しているんだろうか。 『私も今一わからないのですが、ここは一つ千木良先輩の力をお借りし…』 「あほらし、なんで俺がお前の手伝いをしなきゃならんねん。そんなん一人でやり。」と俺はすたすたと放送室に向かう。 それでも蒼衣は黙って俺の後を付いてきた。 「蒼衣?いつまでついてくるんや?」 『先輩の了承を得てからそのまま帰ります。』 「…はぁ…ったく…」 ぼりぼりと頭をかいてから「来い」と一言だけ言って腕を掴んで歩いた。 俺が向かった場所は放送室。 蒼衣はきょとんとした顔で黙っている。 俺はゴソゴソと机の中を漁った。 そして一枚の透明なシルクの布を蒼衣に被せた。 『先輩?』 「黙っとれ」 そう言ってから顔を唇が触れるか触れないかまで近づけさせ 「ウェディングドレスが着たいんならもっと大きくなり。」とニヤリと笑ってこいつの唇を塞いでやった。 少し背伸びをした結婚式 大人になったら、まぁ考えてもええ そん時しだいやけどな、期待してるで蒼衣? ---------------- 6月の花嫁企画で載せたものです。 拍手ありがとうございます。 |