嗚呼、甘ヰ



『レオンさん暖かいね…』

レオンさんの毛並みをブラッシングしてついふかふかしている毛並みに顔を埋めていた。顔が幸せということはこの事なのだと埋もれながら気づく。隣にいた晃牙くんはため息混じりに「レオンが嫌がってんぞ。」と忠告が入った。そんなことを言われてもこの毛並みの良さに離れることは困難だ。叶うならずっとこうしていたい…

『レオンさん…晃牙くんと同じ匂いがするね』

鼻をすんすんと嗅げばそれがくすぐったかったのかレオンさんは私から抜け出して離れてしまった。

『あ…至福の時間が…』

「離れて当然だろ」

頬を膨らませて晃牙くんをみる。晃牙くんも触ると髪の毛はモフモフとしているんだよね。レオンさんほどではないけれど。気がつけば無意識に手を伸ばして晃牙くんの頭を触る。いつも「やめろ」って睨まれちゃうんだけど、今日はなぜかされるがままに大人しく撫でられてる。もしや甘えん坊さんな晃牙くん?

『かわいいかも…』

「ああん?可愛いっていうな!」

ひとり言が聞こえてしまったらしくつい手を頭から離してしまう。と腕を掴まれ「なんでやめんだよ」と言われてしまった。やっぱり甘えん坊さんスイッチ??また頭を撫でれば気持ちが良いのか私の膝に倒れこんでは寝転がる。珍しく晃牙くんの甘えん坊さんなところを見て、なんだか胸のあたりがやけにくすぐったい。これを可愛いと言わずしてなんと言うの…。学校や外じゃ普段見せない緩んだ顔に悶えた。

『そんなに気持ちいいの?』

気持ちよさそうにする晃牙くんを見てちょっと羨ましくなりながらもふとした疑問を投げた。すると晃牙くんは私の手を掴んでやめさせた。首を傾げていると「お米もしてやるから来い」と自分の膝に来るよう指差した。驚きのあまり抵抗しようとしたけれど、なんだか逃げ切れないような気がしたので、恥ずかしながらも寝転んだ。晃牙くんの手が私の頭を優しく撫でてくれる。あ、気持ちいいかも。人って頭を撫でられるとこんなにも安心しちゃうんだ…。昔はお母さんにしてもらったりしたけど、好きな人にしてもらうのとでは全然違う。頬が緩むほどさっきのレオンさんに埋もれる以上の幸せ。

『晃牙くんに撫でられるの好き…』

「…当たり前だろーが。」

あ、多分今ちょっと照れてる?ここからじゃ見えないけど、少し声が照れているよな感じがした。思わず嬉しくて笑みがこぼれたのと同時に、耳たぶにリップ音とこそばゆい感覚が走った。驚いて起き上がれば、今度は首筋にまたこそばゆい感覚がした。

『こ、晃牙くん??』

名前を呼んでも黙っている晃牙くんは首筋に唇を当てそのまま鎖骨に這わせた。そのくすぐったさに背中が反ってしまいバランスを崩してベッドに倒れこんでしまった。しまった…これじゃ完全に抵抗が…
私に覆いかぶさる晃牙くんはゆっくりとわざとらしく首筋に唇を這わせてリップ音を立てた。時折目が合うとギラギラした瞳が見えて私の反応を確かめて唇を這わせた。

『こ、こうが…くん。くすぐったい』

振り絞った声は恐らく晃牙くんにとって煽りにしか聞こえないのかもしれない。首筋に当てていた唇を離し、顔が近くまで来たと思えば頬、鼻、瞼、額にゆっくりと唇が触れられる。

「くすぐってえなら、声出せ」

耳元で囁かられたと思えばまた耳たぶにわざとらしく、ちゅとリップ音が響いた。ちょっと油断すると声が漏れそうになることを勘付かれていたらしい。今度はわざとらしく舌で首筋を舐めて抑えていた声が漏れては空気を仰いだ。ザラザラした舌が鎖骨を這うたびに声を抑えて唇を噛んだ。

「お米…」

ギシ。とベットの軋む音を合図に唇を重ねられた。さっき唇を噛んだせいか血の味が少しして、傷口が熱くなった。それに気づいたのか晃牙くんは舌で舐めとるように口腔内を掻き回した。痛さと気持ち良さで頭が痺れては唾液が口から溢れては首筋に垂れた。唇が離れるとまた晃牙くんと目が合うかと思えば押さえられていた手が離れる。離れようとする晃牙くんのシャツを摘んで制すると驚いたような反応をした。

『もうマーキングおしまい?』

最後の煽り文句の1つともう1つおまけにまた近づいては私から晃牙くんの唇を重ねては離れるとまた晃牙くんの瞳はギラギラとしていた。

「やめてって言ってもやめねえからな。」

唾を飲み込むのを合図に完全にベットに押し倒されてはシャツのボタンが乱暴に外された。





2017.07.17
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