子どもの頃によくルカやマンマに「早く寝ていい子にしていれば必ずサンタさんは来る。」と言われてきた。私は素直にそれを聞き入れ必ず早くベッドに潜り込んでいたものだった。そして必ずはベッドの横に置いてあった少し大きな靴下の中にプレゼントが入っていて盛大に喜んだ。
その習慣のせいかクリスマスの日になると今でも早くベッドに潜り込み目を閉じて眠りに陥る。それが私の当たり前だった。
その日も私はいつものようにベッドへ潜り込み目を閉じた。けれど何故か胸の中の鼓動がドキドキと高鳴り思うように寝付けることができなかった。寝返りを何度も打つけれど中々寝付けない。
眠るのを諦めて起き上がる。ベッドから出てイスに座って窓の外を眺めた。空は星が瞬き丁度目の前には満月があって月光を浴びる。
ふと、廊下でこそこそと少しだけど声が聞こえ耳を澄ました。

「…が、は…れ。」

首を傾げて扉の近くまで行くと、この扉の前に誰かが立っているらしい。一体誰?私は扉の近くに耳を近づける。

「はぁ?お前が先に行けよ。」

聞いたことのある声だった。この声は…リベルタ?こんな時間にどうしたんだろう。もっと人物を確かめるために私はまた耳を澄ます。

「ふざけるな。誰のせいでこんなバカげた格好していると思ってるんだ。お前が先に入れ。」

「どうでもいいけどよ、早くしてくれねぇか。こちとら眠ぃんだよ。」

聞きなれた声が複数聞こえた。ノヴァにアッシュ?三人もどうしたんだろう。
私はドアノブを握り扉を開けると、そこには赤い服を着て白いひげをつけ白い袋を持った三人の姿がいた。
頭の中には疑問符が飛びかり、三人の格好が違和感を呼んで私はどうすればいいのかわからなくなった。というよりどんな反応を取ればいいのかわからずとりあえず扉を閉めた。

「お前のせいで引かれたじゃないか!!これだから無計画な愚者は…」

「はぁ?どっちかっつーとひよこ豆がもたもたしてたからだろ!」

「ひよこ豆…だ、と?今日という今日は許さん!!そこに直れ!叩き切ってやる!」

ぎゃーぎゃーと声が聞こえて私はため息をつく。と、今度はあちらから扉が開く。目の前を見るとアッシュが眠そうな目をしていて私を見ると抱きつき押し倒したかと思うと寝息を立て始める。

「アッシュ!お前何お嬢に抱きついてんだ!!離れろ!!!!」

リベルタ達が駆け寄る前に私は蹴りをアッシュの鳩尾にピンポイントで直撃させてアッシュの意識はそこで完全に消えた。

『で、何してたの?』

リベルタとノヴァはイスに座り下を俯いている。まるでその様子は母親に怒られている子どものようで少しだけ頬が緩む。首を振ってから私はベッドに座り込んだ。

「いや…その、なんていうか。」

リベルタは目を逸らし、ノヴァは額に手をついてため息をついた。

「お前に…クリスマス、プレゼントを渡しに来たんだ。」

口籠もりながらノヴァは私にそう答えた。
詳しく聞けばリベルタが事の発端で、サンタの服を着て私が寝ている間にプレゼントを置きに来たということらしい。

『普通に渡してくれれば良かったのに。』

そういうとリベルタは私に人差し指を出してチッチッと左右に振った。

「その方がわくわくするだろ?」

にっこり笑うリベルタについ私もにっこり微笑む。それだったらしょうがないと許す気にもなってしまう。リベルタの笑顔には弱い。今ならダンテの親心というものがわかる気がした。

『じゃあ、私もう一度寝たほうがいい?』

そう言ってベッドの中に潜り込もうとすると止められ、今から渡すと言われる。
何をくれるんだろう…。
まずは俺から!とリベルタは少し大きめの箱を白い袋から取り出されて私に差し出す。私はそれを受け取る。一体なんだろう。

『開けてもいい?』

「おう!」

プレゼントの包装紙を取り中身を見ると…木箱?中を開けると小さなカラクリ人形と共にメロディが流れる。

『わぁ…!!オルゴール?』

そう聞くとリベルタはにっこり微笑んでくれる。人形はメロディに合わせてくるくると踊った。とてもそれが愛らしい。

『ありがとう、リベルタ!!大切にする。』

まじまじとオルゴールを見つめていると「次は俺だな。」と目を覚ましたアッシュが私の傍に来る。さっきまで寝てたはずなのに…。私はじっとアッシュをみる。白い袋から垣間見えるそれは全部赤い果実に見えた。慌てて私はアッシュを止める。

『ね、ねぇ、アッシュ。白い袋から見えてるのって』

「あ?リンゴに決まってんだろ。」

だよね。と頷いてしまう。アッシュ=リンゴなんていつもの事、今更そんなこと考えちゃダメだよね。
いい加減に慣れなきゃ。するとアッシュはリンゴを取り出したわけでは無く包装紙に包まれた自棄に薄いプレゼント。私はそれを受け取るまで少しだけ時間がかかる。じゃあさっきのリンゴはなんだったのだろうか。その疑問を残しながらプレゼントを開けると、レターセットだった。

「街で見つけたんだ。いいデザインだしこういうの使うだろ?」

『…丁度手紙がなくなってたの、ありがとう。凄く嬉しい。』

アッシュに微笑むとアッシュは背を向け「俺はもう寝る。」と言って部屋を出て行ってしまった。なんだかさっき顔が赤かったような…?

ふとノヴァを見るといつもは見せない戸惑った様子をしていた。

「ん?どうした、ノヴァ。次はお前の番だぞ。」

「あ、あぁ…わかってる。」

そう言ってもまだノヴァは渡そうとする気配がない。それどころか下を俯いていてどことなく表情が暗い。

「なんだ?持って来てないのか?」

リベルタの言葉に「そんなことはない!」と反論する。

「だったら早く渡せよ。お嬢待ってるぞ?」

「あ、あぁ。」とノヴァは小さく返事をして白い袋から小さな紙袋を取り出し私に渡した。

『開けてみてもいい?』

そういうとノヴァは黙って頷いた。袋を開けてみると中身は赤いリボンが二本入っていた。

「そ、そのお前に似合うと思って…」

今にでも消えそうな声、ノヴァにしては凄く珍しかった。そしてノヴァはまたぽつりぽつりと話し始める。

「だが、リベルタやアッシュのプレゼントなんかと比べたら…」

『ねぇ、ノヴァ似合う?』

先ほどノヴァからくれたリボンを結んでみて微笑む。
するとノヴァは少し驚いた顔をしてからゆっくり微笑んで「あぁ、やはりそれを選んで正解だった。」と言われて私はノヴァの頬にキスを落とした。








投げ出されたプレゼント





君から貰ったプレゼントは全てが宝物。



(フェル!無闇にぼ、僕にき、き…)
(頬にキスされたからって赤くなるんじゃねぇよ。)
(なっ!!!アッシュ、貴様帰ったんじゃ…)
(いや、リンゴの袋を忘れて取りに帰ってきた。)
(この白い袋?)
(あぁ、それ俺へのプレゼントだ。)
(リンゴが…)
(んだよ、お前らその同情心を含めた目は)



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ノヴァともに全員迷子^q^
すみません…もう無駄に長いし文章になってません。すみません。
誤字脱字多くてすみません。

でもこの三人ならやりかねないですよね、サンタコス。
むしろフェルと一緒にやってルカをびっくりさせても可愛いおkです。
ファミリー全員のサンタさんになったらやばいですね…ハァハァ(((((

読んでいただきありがとうございました!ぜひまた来てください!
ありがとうございました!!


2013.01.09