目の前の煌びやかな景色に圧倒され、現実と寒さを数時間ほど忘れてしまっていた。ただ立っているだけで、この綺麗なイルミネーションを見つめるだけでこんなにも時間が経ってしまうのかが不思議で不思議でしょうがなかった。さっきまで、一緒に行動していたアッシュは何処かに行ってしまったらしく、私は探すことを忘れていた。イルミネーションから目を離せないのは言い訳だけど、夢中になるくらい見入ってしまっているのは確かだった。

『……。』

よくよく気づけば、イルミネーションの美しさに目もくれず通り過ぎて行く人々はみんな手を繋ぎ仲睦まじい様だった。
私もさっきまで一緒に歩いてはいたけど、あんなに仲睦まじい光景では無かった気がする。というか、お互いにいがみ合ってばかりで…。アッシュはいつだって私のことを悪く言ったりするし…。少々腹立つものはあった。その掛け合いはいつものことでやっと私自身も慣れてきたばかりだけど、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。今ではこの関係がとても心地よいものにかわっているのか、アッシュもよく笑顔を見せるようになった。それと同時に私はなんとなく胸のあたりがむず痒い感覚に襲われていた。

『アッシュどこにいったんだろう…』

ふとイルミネーションから目を逸らし、周りを見渡す。この人混みの中で探すのはきっと無謀な行為だ。けど、アッシュが私を探してくれているのかは不確かだ。もしかしたら、呆れて幽霊船に帰ってしまったかもしれない。もしかしたら…アッシュも迷子になっているかもしれない。そう考えたら止まらず、気づけば私は足を動かしていた。

無我夢中で走っていたせいか、人混みが多く、探すのは困難だった。どこか知らない所へ一人放り出されたような独特な孤独感と寂しさが途端に襲い、気づけば人混みの真ん中で一人立ち尽くしていた。
さっきのイルミネーションがあればそれに見惚れていたと言い訳ができるけど、そんな言い訳がつかないこんな場所では到底無理だと自分でもわかった。

『アッシュ…。』

ぽつりと呟く声は、弱々しく掠れ、今でも泣きそうな声だった。このままアッシュを置いて屋敷に帰ることは可能なこと。けど、今日はクリスマス。こんな日はなんとなくアッシュと一緒にいたかった。それは、家族だから?それとも……。
自分が抱くアッシュへの思いは果たして家族愛なのかは、わからない。
ぐるぐると回る感情の混乱に私は足をゆっくり動かした。私は、アッシュをどう…

「イチゴ頭!勝手にふらふら歩いてるんじゃねぇ!」

腕を掴まれ無理矢理体の向きを変えられ目の前には呼吸が荒く汗だくになったアッシュと大きなクリスマスツリーが鮮やかに煌き私の見ていた世界が一変にした気がした。

「お前が何処か行っちまうから探し回ったじゃねぇか。…ったく」

アッシュをただ見つめ胸のむず痒さが増す。昔、ルカやメイドトリアーデたちが言っていたかもしれない。この気持ちは、きっと…

『ごめんなさい。アッシュ、私あなたの世界に入りこみたい。』

「は?」

『だから、覚悟して。近々、あなたは私に夢中になる。』



君を輝かせたイルミネーション



+++++++


フェリチータが消えた。さっきまで一緒だったが、ふと隣を見たらいなくなっていた。こんなことになんなら恥ずかしがってねぇで手ぐらい繋いでおけば良かったか?くそ…。
よくよく周りを見れば、そんな奴らばっかで俺とあいつは、なんていうかそういう関係でなければ、お互いそんな気持ちもこれっぽっちも抱いていない。誰があんなバカな奴…

最近じゃ、あいつのことを目で追う自分がいる。それは否定できねぇし、嘘なんかつけねぇ。だが、あんなヒヨコ頭やらみたく分かり易い反応なんか虫唾が走る。あんなん俺には一生できねぇな…。つか、イチゴ頭なんか恋愛とか向いてねぇし、あんな鈍感か奴にできるわけがねぇ…
だから、目が離せない。危なかっしくて、見てて心臓に悪ぃ奴…貰い手なんざ沢山いる。
箱庭で育てられた綺麗な花に指一本すら触れられない。何にも知らないで育ってきたお姫様の隣なんざいられねぇよ。

ふと、前を向くと立ち尽くしているイチゴ色の長い後ろ髪に思わず駆け出していた俺がいた。走ることなんか滅多にねぇのにな…。
やっと辿り着いて肩に手を置こうと思いきやそれは虚しくも俺の目の前で空をきった。途端にフェリチータは目の前で走り去って行っちまった。

なんだありゃ…

大体いつもそうだ。近くに寄ってみればこうやって今みたいに逃げられちまう。なんだかよくわかんねぇが苛立っているのは確かだ。それは、逃げられたからか?それとも俺の近くにいないからか?あいつをこの手にできないもどかしさがあるからなのか?こんな事思う俺はどうかしちまってる。俺は、あいつと恋仲になりたくなんかねぇ。はっきり言えば、今の関係が一番落ち着くっつーか、なんつーか…このままがいいんだ。
気づけば俺の足は動き、フェリチータを辿って走っていた。

しかしこの人混みの多さはどうにかなんねーのか?いつもだったら、あのイチゴ頭が目立つんだが、周りは赤だの緑だので煌びやかとしている。他の国のクリスマス以上にここは賑やかだった。

「ったく、これじゃわかんねぇ…」

辺りを見回す度に人が通り過ぎていく無限ループ。こんなんじゃ、あいつを見つけ出せるわけがねぇ。諦めかけた後に、見つけた。華奢でイチゴ頭のバカを見つけた。


「イチゴ頭!勝手にふらふら歩いてるんじゃねぇ!」

腕を掴みこちらを向かせるとフェリチータは目を見開き驚いた様子をみせていた。が、俺もまたこいつの大きな緑の瞳に吸い込まれ、つい見とれちまっている自分がいた。一瞬にして我に返り目を逸らす。

「お前がどっか行っちまうから探し回ったじゃねぇか。…ったく」

腕を放すと今度は力強く両手を握られた。その力は軽く振りほどけなく驚愕で後ろを振り向けばきらきらと更にイチゴ頭の瞳は輝いて見えた気がした。なんかよくわかんねぇが、嫌な予感しかしない。だから今の言った数々の言動は意味わかんねぇってことにしておくぜ。



君を輝かせたイルミネーション


気が変わったら俺から言ってやるよ。





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こんにちは!お久しぶりです!ヽ('∀'*)ノ
学業が忙しくて中々更新できなかったアシュフェリちゃん(´;д;`)
授業中、つまらない教授の話を聞きながらクリスマスだけでも書きたいと思い今に至ることになるわけでございますが…!

ほんとに何がやりたいの?(真顔)

管理人にも答えはわかりません!

片想いっていう言葉が似合うお二方だからこんな内容になってしまいました。すれ違った両想いでも良し、片想い一方通行でも良し。そう青春する歳頃なのでね!17歳って言いましたら青春真っ只中ですよ!しかも同い年ですからねっ!(夜中のためテンション上)
とまぁ、こんな長々とくだらないお話で申し訳ないです。また、連載の方もちゃんと考えているので!近々更新する予定ですのでその時は皆様、どうかお付き合いのほど宜しくお願い致します!ありがとうございました!



2013.12.16




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