犬飼隆文。 星月学園。 神話科2年。 弓道部。 天秤座。 誕生日は…未だわからず。 秋の季節。 暑い夏から抜け出した。 それなのに私達はアイスを食べながら帰宅していた。 なんだかんだ言って秋って言ってもまだ暑い。 『犬飼くんってさ…誕生日いつ?』 犬飼くんの星座は先ほど白鳥くん達と話していた時に聞いた。 だけど、肝心な誕生日はまだ知らない。 丁度タイミングよく私は部長に呼ばれて聞くことができなかった。 「なんだ?俺にプレゼントでもくれるのか? だがなお菓子とか夜久が作ったもんは俺は受けとらんぞ? 何かと恐ろしいからなぁー。」 うんうんと一人で犬飼くんは頷いている。 まぁ、確かにこの前は砂糖と塩を間違えてしまった。 だけど、次は絶対に失敗しないと心に決めている。 『そなことないもん!!それより誕生日はいつなの?』 犬飼くんは悩む仕草をしてから答えた。 「当ててみろー。」と意地悪っぽく笑う犬飼くん。 『うーん。10日とか?』 犬飼くんの顔を伺いながら思いついた数字を並べていく。 でも全部不正解。 「いつだろうなぁー?」 犬飼くんは笑いながらアイスを食べている。 少しくらいヒントをくれても良いんじゃないかと思い私は提案した。 だけど犬飼くんはそんな私の意見を無視して「だったらお前の誕生日を教えてくれよ。」と言った。 …そういえば教えてなかったと気がついく。 「2月15日だよ。 はい、言ったんだから教えてよ。」 今聞けばきっと誕生日サプライズもできるだろうし、何よりプレゼント選びは個人的に大好きだった。 喜んでくれる人の笑顔を見ると私も嬉しいし、 だけどプレゼントを買ってから早く渡したいという胸のドキドキ感が私的には好き。 だから誕生日って自分にとっては記念日だし、 その人にとって最高の一日になって欲しい。 その相手が恋人なら尚更気合いを入れたい。 『ね?言ったんだから教えてよ。』 本日四回目。 犬飼くんは少しため息まじりにわかったよ。と一口でアイスを食べ終えてから白状した。 「……………今日だよ。」 『…え?』 体の中の血液が逆流して血の色が赤から青に変色したような感じがした。 大きなショックを受け半ベソをかきながら聞いた。 『なんで…教えてくれなかったの?』 だって、一応私は彼女だし第一プレゼントだって用意してないし… 誕生日ぐらい素直に言って欲しかった。 「だから、言いたくなかったんだよ。夜久は絶対そんな顔すると思った。」そう言うと頭を優しく撫ではじめる。 『だって、お祝いしたいじゃない…彼氏の誕生日ぐらい……。プレゼントだって用意してな…』 言い終わる前に犬飼くんは髪をぐしゃぐしゃと乱暴にする。 「良いんだ。…それよりよ、…その、さ今度の日曜暇か?」 『うん…空いてるけど?』 今週末の日曜日は珍しく部活が休みで、何をしようか迷っていた所だった。 「じゃ、その日俺にくれないか?」 『え?』 これって…つまり…… 「それで良いよな。俺の誕生日プレゼント。」 『…けど。』 「良いって言ってるだろ?俺はお前と一日過ごすことが一番嬉しいし、楽しいって思ってる。だから俺はそれで十分なんだ。」 犬飼くんは眩しい笑顔を私に向ける。 犬飼くんの笑顔にはいつも負けてしまう気がする。 それだけ言うと犬飼くんはすたすたと一人歩いて行った。 『待って!!犬飼くん!!』 そう叫ぶといつも犬飼くんは「なんだ?」と振り向いて待ってくれる。 あぁ、もうそこがダメなのよ。 優しい犬飼くんが悪いんだからね。 私は走って犬飼くんの唇にいたずらっぽく重ねた。 『エヘヘ、お誕生日おめでとう、犬飼くん。』 小さい愛をあなたに 犬飼隆文。 星月学園。 神話科2年。 弓道部。 天秤座。 誕生日は……今日。 夕日のせいなのか それとも暑さのせいなのか 犬飼くんは少しだけ顔が赤く見えた。 ------------- あー…ごめんなさい。 犬飼くんじゃないですね。 主人公を今回大胆にさせました。 てか、サブキャラに誕生日をください。 お願いしますm(__;)m まぁ、誕生日もいいけどルートが欲しいよね。 日本語迷子文字使用です。 2010.11.30 |