冷えた風が頬を掠めてくしゃみを一つ。 今日はかなり寒い。しかも夜だからかなり冷え込んでさすが冬だと皮肉めいた誉め言葉を呟く。 こんな日は星が綺麗なんだろうな。 犬飼くんと喧嘩さえしてなければ一緒に見れたのに…。何であんな酷いことを言ってしまったんだろう。言ってから後悔することが一番嫌だ。 窓を見てはぁとため息を吐けば窓ガラスに白い息が曇る。窓を開けてベランダへ顔を出せば丁度南中したオリオン座が見えた。よく見ればオリオン座星雲も見れるのだろうけど肉眼でははっきりと見えるはずもない。もっと近くに寄ろうと完全に外に身を出す。手を伸ばせばきっと届くだろうという錯覚につい腕を伸ばしてみる。届くはずはないのに。 オリオン座のメインとなる三星に手を重ねた瞬間だった。空から本が落ちてきた。 思わずびっくりしてその本を取ってしまう。 なんで本が…? 本のタイトルを見ても誰のものかわからない。 頭に疑問符を浮かべながら身を乗り出して落ちてきた方へ見上げれば犬飼くんが上から見下ろしていた。 『わざと?』 そう言えば犬飼くんは笑いながら首を横に降るものだから絶対わざとだ。と確信できた。 沸々と湧く怒りの前にどう仕返ししようかと悩んだ結果。犬飼くんに本を返すことにした。 私は真上に本を放り投げた。けれど、本は引力で真上に上がれば再び落ちて私の顔面に当たってしまう。それを見た犬飼くんは笑いを堪えている様子で私は怒りに堪えられず部屋に帰ることにした。 まったく…何を考えてるの…? 犬飼くんの本をぎゅっと握りしめて床に怒りをぶつける。すると本の中からメモ用紙が一枚。 拾い上げて見ればメモ用紙にはあとの事が書かれていた。 「悪かった。」 不器用に書いた歪な文字。それは犬飼くんらしい文字で男の子が書いたというような文字。 その一言で怒るのもバカらしくなってしまった。 夜空放り投げた100冊の本 (でもね、犬飼くん。) (ん?) (それとこれとは違うから) (何のことだ?) (本投げた時バカにしてたでしょ) (そりゃだってお前がアホなことするか…ちょ、ちょっと待てよ、その本で何す…) (同じようにしてあげるわ。) -------------------- 甘くもない謎のクォリティー 友人と同じお題で書いてみました。犬飼くん。 久しぶりなのでキャラ崩壊&原作無視してます。 すみません。 本当は女子寮に男子はいないはずなんだけどなぁ。 犬飼くんがストーカーみたいな感じになってるけど気にしたら負けなのです!!! |