今日は乙女の日だ。 俺はどんなにこの日を待った事か… ニヤニヤしながら学校に登校。 途中宮地に会って「顔がたるんどる」とかなんとか言われたけど今日の俺は一味違うぞ!! なんてたって今日は乙女の日だからな!! はぁ、と吐息を漏らして気づけば早放課後。 ルンルンと足を弾ませればすぐに道場に着く。 「お願いしまーすっ!!」 道場を見渡せば、宮地に木ノ瀬、犬飼、小熊に……ん? 「おい、犬飼。月子は?」 「あー、生徒会の仕事があるからって部活には来れないってよ。」 「そうか…」と一人しゅんと俯く。 月子はいないのか…生徒会なんて辞めてしまえば良いのに。 モヤモヤとする胸に手をおいてさすりながら深いため息をついた。 それに気づいた犬飼はニヤリと口を歪ませ 「なんだー?お前まだ夜久からチョコ貰ってないのか?」とニヤニヤしながら言われた。 「そういう犬飼はもらったのかよ…」とぼそりと呟く。 犬飼は自慢げに「もちろんだ。」と答えた。 それから部活に集中できず寮に帰宅。 俺のチョコはいつ貰えるんだ? これでも俺月子の彼氏だよな?彼氏って一番最初に貰うんじゃないのか? つか、今日一日月子に会ってない気がする。 はぁ…と深いため息をつきながら俺は外の空気を吸いに屋上庭園に行った。 星だけが俺に優しく瞬き、月が俺の心を包み混んでくれるようなそんな夜。 静寂さだけが残り、僅かに風が吹く。 思ったより寒かった。 あー、マフラー持ってくれば良かった。 風邪を引いてしまうだろうと扉の前に行こうとすると同時に扉が開き誰かが入ってきた。 あれ………月子? あの姿は正しく月子だ。 なんてたって俺は月子を人混みの中で見つける事ができるんだからな!!…ってそんな事は今はどうでも良いんだ。 月子は少しそわそわしながら俺の方に向かって歩いて来た。 「どした?女一人じゃ危な……」 言い終わらないうちに月子は俺に近づくと何か大きな袋を差し出した。 これって………………。 喜びを押し殺しながら動揺しつつ俺は月子に聞いた。 「これって、も、もしかして俺に、か?」 心臓がバクバク鳴って顔がみるみる赤くなっていくのがわかった。 月子も少し俯きながらコクンと頷いた。 俺はそれを受け取り中身を開けようとした瞬間『ま、待って』と手を掴まれた。 月子を見ると慌てたり顔を少し赤く染めたり何やら忙しい姿をしている。 あー可愛いなぁ。 ニヤニヤを押さえつつ「どした?」と聞いた。 口をパクパクしながら月子は言った。 『その、えっと…やっぱり袋開けて?』 そう言われて開けると中身は…あれ、マフラー? 『その…結構前から編んでたんだけど、遅くなっちゃって…だからさっきまで編んでたの。』 下を俯きながらそう小さい声で呟く月子。 そうか…だから俺は後だったのか。良かった…。 ホッと胸を撫で下ろしつつ「サンキュー、これめちゃくちゃ暖かそうだな!!」 ニッコリと笑えば月子も笑う。 『ふふ、今回は頑張ったんだよ?チョコは別にしてたの…はい、これ。』と渡された小さな袋。 中身を開ければ甘い香りに包まれる。 俺は気がつけば月子を抱きしめて唇を重ねていた。 チョコより甘い愛をどうぞ (ごめんね、遅くなって) (良いって良いって……貰えないよりはマシだもんな。) (え?なんか言った?) (あ、いやなんでもないぞ??別に犬飼にチョコをあげてって…ヤキモチなんて焼いてないぞ!!) (犬飼くん?まだ私みんなにチョコ渡してないよ?明日渡そうとしてたんだけど) (え?) 明日俺は犬飼を血祭りにあげなくてはならない日を迎えなくはならなかった。 ------------- 結構遅いバレンタインをどうぞ。 これは甘い苦いの問題ではなくまずいの問題ですよね。 これ書いてる時に思ったのが… もしかして夢主、二股?とか思っちゃいます。 犬飼くんのこれ読んでると少しだけ… でも、こういうのってお題も同じだしやや被ってしまうんですよね。 私ある意味凄いな。 ある意味でそれ才能だよ。 不幸を自分で招いてるよ。 あー乙ですね。 ははっ((苦笑 ごめんなさい、これからも白鳥くんも犬飼くんも愛して行きますm(__;)m ありがとうございました。 2011.02.25 |