らむねあじ | ナノ

ラムネをおひとつ

夏色の空に白く綿が浮かぶ。風は吹かない、首筋を汗が滑り落ちるのに喉を鳴らした。


同じクラスだったけれど、話したことは無い。ただ、なんとなく、ほんとうになんとなく。


誰も居ない昼下がり、無人駅に響くのは蝉の声だけ。さっきまでいたどこかの駅はもう遠い。人混みでふいに立ち止まると絡んだ視線。それは数秒のことで、何を話した訳でもないのに事前に打ち明けた様に俺は彼女の手を取って行き先も知らない電車に飛び乗った。

別に彼女をどうこうするつもりはなかった。ただ気が付いたら今、こうなっていたのだ。なんとなく、すこし遠慮がちに手を引いて、抵抗はされなかった。


誰も居ない駅、田舎の。少し歩けば懐かしの駄菓子屋。風鈴が蝉と競って音を鳴らす。暑い、と汗が落ちる。何かないかと探す彼女。淡い色をした炭酸瓶を両手に持って笑った。綺麗だと思った。

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