夢から醒める時間 | ナノ

ビー玉は私に



いつの間にか青い空が薄れて、雲も細くなっていた。どれくらいここに居たっけ、そもそも何時に此処に来たかをはっきりと覚えていなかった。けれどたぶん、彼女と他愛ない会話をして、俺の今迄の人生の中で楽しかった時間ベスト5にランク入りは間違いないだろう。


ふらふらと彼女の後を付いて歩く。彼女曰く、今日通って来た道は全部覚えているのだそうだ。従って俺達を此処に運んできた駅も記憶している、ということになる。記憶力がいいのだね、言い掛けてやめた。

勉強も運動も完璧で、それを当たり前だと思っていて尚且つ自分以外もそうだと思っている人間に皮肉など伝わらない。まさに暖簾に腕押しである。…使い方あってるかな。


歩きながらポケットを探る。彼女が飲み終わったラムネのビンから出てきたガラス玉を空に透かしてみた。透明なはずのそれはオレンジとブルーの半々の色をしている。

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