うたいましょ | ナノ

すてきかく提出




朝起きて、カーテンを開くと雨だった。思わず心の中でガッツポーズ。雨が降ればテンションが上がる単純な自分に呆れた。
尻尾を千切れそうなくらい振って走ってくる子犬を撫でて、散歩に行く支度を始める。






始まりはやっぱり雨の日。なんだったか、調味料か何かが足りなくてそれはどうしても作りたい料理に必要不可欠なものだった。土砂降りの中、憂鬱な気分でいちばん近いスーパーまで走って。アパート前の道路を挟んですぐ隣にある公園で、それを見た。
ずぶ濡れの子犬をじっと見つめる、ずぶ濡れの少女。歳は俺より少し下だろうか、雨の中で淋しそうに見えた、気がした。












「よし、行くか」

赤い首輪と紐を着けて、子犬に言うと元気にわん、と吠えた。ドアを開けて、傘を開く。昔は憂鬱でしかなかった音は、今ではすっかり俺の機嫌を変える音になっていた。


あめのうた
(きらりはらりと舞い堕ちる)
(今だけ逢える、きみのうた)






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20110529 加筆修正

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