あのころは神さまがいたの|おうちへ帰ったらワルツを弾こう|愛が薬指に灯るとき|だれかが淋しいと言った|追憶はほの甘い|春はくるけどあの子はこない|遠いあの日は水彩のよう|花のほほ笑みに包まれて|郷愁を乗せてどこへゆくの|さよならに秘められた愛

古ぼけた記憶がかけがえのない思い出になる|常しえに動かぬもの|旅をおえた彼は耳を澄ませる|遠くおぼろげな記憶のなかで笑っているのは、きっとわたしだったのだろう|ひまわりの花言葉、を求めている|この夜明けはひとりでは見つけられなかった|薔薇のようにエレジー|足元に咲く白い花に気づけなかったこと、それが罪|もう春を待たない|ゼロを見据える瞳

忘れられた虹の配色|咎隠し|花のこころに寄り添って|さようならの香りがそっとした|ベッドにすべてを残して|それは決して燃えないから|飴の雨|やさしい風が髪を揺らすころ|愛の重さについて|白い埋葬を望んでいる

ぞっとするほど淋しい情景|雨上がり、自転車、虹のたもとへ|せめて海は越えて|花気取り|君なしで生きている、君なしで生きてゆく|あなたに見放されたけど、わたしはわたしを見捨てない|木がふたり、寄り添って泣いている(『淋』という漢字のこと)|写真のなかの動かない笑顔へ|花といっしょに降ってきた|淡い告白に気づかなかったきみへ

このやさしい記憶が、いつかわたしを苦しめるのだとしても|ジャングルジムのてっぺんで生まれた約束|海の青を持ち帰りたかった|悲しみは砂糖に沈めて|あの子がきみを想って泣いたころ|地球を包む水のよう|僕を生かす光|心の調べは子守唄|笑みの花束|夕日が海へ溶けるころ