▽天ぷら
残り少ないとっくりの中身をお猪口に全て注いで、ぐっと飲み干す。
「はぁ」
「どうしたため息なんかついて」
「とうとう東さんとカウンター席で飲みながら天ぷら食べるような歳になっちゃったんだなぁって思って」
「確かになぁ。初めて会った時はまだ高校生だったんだもんな」
「うわぁそっか……当時東さんA級1位でイケイケでしたもんね」
「イケイケじゃなかったけどな。懐かしいな」
揚げたての天ぷらがまたひとつ皿に置かれた。
「ようやく東さんと同じ土俵に立てたので、ひとつ聞いてもいいですか?」
「ん?もちろんいいけど」
「東さんが好きなんですけど、脈はありますかね?」
「……酔ってる?」
「もちろん酔ってます」
「でもお前俺より酒強いよな?」
カウンターで黙々と天ぷらを揚げていた大将が「にいちゃん男は度胸だよ」と言ってキスの天ぷらをサービスしてくれた。
大将の援護射撃凄い。