9 俺はうきうきしながらドアを開ける、が、鍵が閉まっていた。 仕方なく鞄から鍵を取り出し、開けて入ってみるが人の気配は全く無い。 「あれ、先輩今日バイトだっけ?」 いつもならメールで教えてくれるはずなんだけどな。 携帯を開き受信フォルダを確認するが、そんな事は一つも書いていない。 鞄を床に放り投げ、ソファーに寝転がる。 「うあー、先輩なにしてんだろー」 ナンパされてほいほいついてったり、してないよな?嫌な予感がよぎる。 いや、無いな。先輩に限ってあるはずがない。 とりあえず、早く帰ってきてくれよ先輩! TVをつけて気を紛らわしてみるが、むしろごちゃごちゃと頭が痛くなくなるばかり。 「あー、もう」 携帯を持って、取り合えず外に出よう。と、ドアノブを握ると同時に、逆側から引っ張られた。 「せ、先輩」 「ただいまっ」 「せんぱーい!」 久しぶりに見る先輩(実際朝に見てるが)に感動してしまい、勢いだけで抱き締める。 「な、なになに!てんま、どしたの?」 「先輩、ナンパとかされても、ついていったら駄目ですからね」 「えー、話が見えない」 |