44 「っくしゅん」 「天馬が風邪引くなんて、ありえない」 「なんですか、それ」 「ほらー、鼻水でてるし」 ぶーたれる俺を無視し先輩はティッシュを鼻に押し付けてきた。 先輩を見ると、物凄く心配そうな顔。風邪くらいでそんな顔されたら困ってしまう。 「今日は学校お休みして、薬飲んで、ご飯食べて、寝ること」 「先輩、は?」 「さみしいなら、居てあげても、いいよ」 俺の頬に触れる先輩の手が冷たくて気持ち良い。重ねた手、指を絡ませると先輩はにこりと微笑んだ。 「っていうか、やっぱ俺がさみしいから、休む」 「良いんですか」 「ん、いいの。なんなら、風邪、うつしてくれる?」 先輩は可愛過ぎだ。何度でも、何千回でも俺は言うよ。先輩は世界一可愛い。 体が熱いのは風邪の所為もあるけど、先輩のお陰でますます症状が悪化していく。 「うつしたら、今度は先輩が具合悪くなっちゃいますよ?」 「いいから、はやく」 首を傾げて俺にせまる先輩。どんどん距離が縮まって、唇と唇が触れた。 離れようとする先輩を引き止め、今度は俺から深く口付けた。 |