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サッカー部に戻ってきて欲しい、そう思わないか?と帰り際神童先輩に問い掛けられた。
霧野先輩は俺が入学した時点で部を辞めていたから、俺はどうしようも出来なくて。
先輩は先輩で、アルバイトをして、家に帰ってきて…充実しているように見える。けど、俺が勝手にそう思っているだけかもしれない。
今も先輩と一緒にサッカーしたいって気持ちはあっても、言えずじまいだった。
「あーもう、どうしたらいいんだよ俺」
「なに、ぶつぶつ言ってんの」
はっ、と振り返るとそこにはじと目の先輩の姿があった。
「どこまで、聞いてました?」
「ぜーんぶ」
にこり、と微笑み先輩は俺の腕に絡みついた。先輩の甘い香水の香り。
ああ、やばいな。凄く気まずい。
「サッカー部、戻ろうかな」
「!」
ちら、と上目遣いでそう言われ思わず心臓が跳ねた。色んな意味で、どきりとする。
「でもなあ、俺、今1番楽しいんだよなー」
「え…」
「バイトして、バイト休みの日はご飯作って天馬の帰り待って…それが幸せでしょうがないんだ」
「…」
そう言って貰えて俺は正直嬉しかった。さっきまでもやもやとしていた気持ちが、一気に晴れる。
「あーそれなら、俺もそれでいいです。俺も幸せです、うん」
ぎゅ、っと小さな体をきつく抱き締める。先輩はいたいいたい、と笑いながら言った。



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