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「映画見に行きたい、あれ、怖いやつ!」
「俺は良いですけど先輩怖いの苦手でしょ?」
「うー」
日本のホラー映画が流行っているらしく、先輩も見に行きたいと強請っている。
前だって怖いの苦手なのに見に行って大泣きしたくせに、また行きたいか。
他の客に俺がなんかしたみたいな目で見られたし。本当に困った子だ。
「ほら、前作だって借りてきたの見て大泣きしたでしょ。夜も寝れなかったし」
あの時は散々泣き腫らして次の日も腫れが引かず結局ふたりで休んだっけ。
先輩だけ休めばいいのに、駄々を捏ねて結局俺まで巻き添えを食らった日ね。
まあ、その日はふたりでいちゃいちゃできたから大変満足だった訳だが。
「んー?そうだっけ」
先輩は首を傾げ、ぽかんとした顔で俺を見つめた。
「うん。ってことで、恋愛映画見に行きましょう」
「えー、なにそれ」
「それ見て先輩との愛を深めようかなとか思ってるんですよ」
ぶーぶーと文句をたれる先輩を尻目に俺は支度を始めた。



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