30

今日は4月1日、エイプリルフール。
0時ちょうどに嘘、しっかりといただきました。
「天馬っ、きらいっ」
「…べったりくっついてきてそれはないでしょ」
「うー」
俺の腕の中にすっぽりと包まれてる霧野先輩は、小さく唸って瞳を潤ませた。
「ああ、俺もなんか嘘つかなきゃですよね」
先輩の髪を撫でながら、どんな嘘をつこうかと考えてみる。
「んー、駄目だ、いざとなったら思いつかない」
「もう、そんなの良いから…ねっ」
ばふっ。勢い良く押し倒される俺。天井の明かりが眩しい。
「もうエイプリルフール終わりっ」
「あ、ちょっと、先輩」
「てんま、だいすき、だよっ」
俺の上に馬乗りになってる先輩から、愛の告白。何故だかいつもより嬉しく感じる。
「てんま、俺にも言って、ねっ?」
「あ、えっと、好き、です」
「ちがくて!だいすきって!」
「あーもう、ちょっと黙ってください」
あまりの恥ずかしさに、先輩の唇を塞ぐ。
柔らかい先輩の唇。リップクリームの香りがふわり、と鼻を擽った。



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