21 「おしり痛いー!」 「もう、先輩っ、こんなとこで大声で言わないで下さいよっ」 先輩の口をおさえるが、周りの視線はもう俺達に集中していた。 恥ずかしい。 大人しくなったので、先輩を解放してやる。先輩は頬を膨らませ、文句をぶーぶーと垂れながら歩き始めた。 知らないふりをして、俺も歩幅を合わせた。 「もう!痛いんだもん!歩けない、あるけないー!」 俺の腕に引っ付いて、駄々をこね始める先輩。仕方ないので、先輩の第二カバンを持って、肩に掛けた。 何故か先輩のカバンはやたらと重くて、ずしりと肩にくる。 なんで月曜からこんな仕打ちを……。 それでもまだ先輩は満足いかないらしく、俺の腕を引っ張り、ぶんぶんと振った。 「だっこ、して!」 「……もう、何言ってるんですか」 今もぴょんぴょん跳ねてるし、全然元気じゃないか。普通に歩けるじゃないか! とは言いつつも、甘えてくる先輩が可愛くて、心が揺らぐ。 「しょうがないなあ、ほら」 こんな大勢に見られたら恥ずかしいので、おんぶで我慢してもらうことにする。 「ぱんつ、見えちゃうかも!」 先輩は嬉しそうに俺の背中にしがみ付いた。先輩の軽い体を背負って、歩き出す。 周りの視線が痛いけど、先輩の機嫌が悪くなるよりましだ。 |