18


「先輩、俺の嫌なところってあります?」
「ないよ」

俺は鼻水を垂らし、先輩にへばりつく。
先輩はもう、なんて言って俺の頭をくしゃりと撫でた。
先輩の愛のある即答に俺、もう泣きそう。
「これからも、嫌なところあったら、言ってください」
「なに、弱気になってんのー」
先輩になでなでしてもらいながら、俺は話し続ける。
「だって、俺のクラスの子とか、"彼氏のここがヤダ""ここがキライ"ってよく言ってるから」
結構彼氏持ちの女子が多くて、いつも恋愛の話ばっかりしてるから、聞きたくなくても自然と耳に入ってくるわけで。
「ふうん、そんな女子と俺、一緒にしちゃ駄目だよ」
不意打ちのでこぴん。俺は大袈裟に額をさすった。
「うう、すいません」
ぺこぺこと頭を下げ、先輩の顔を窺ってみる。
先輩はにっこりと笑って、俺の頬を抓った。
「は、わ、へ、へんぱい」
俺の顔、多分ひどい事になってる。先輩はけらけら笑って、抓んだ指を離した。

「俺の"すき"は全部好きの"すき"なの。全部じゃなくなったら……嫌いになっちゃうかも、ねっ」
「あー、俺、頑張らなきゃ!」




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