17

「起きてっ」
ゆさゆさ。体を乱暴に揺すられ瞼をこじ開けたが、まだ部屋は暗い。
「ど、したん、ですか」
「といれ!」
「えー、ひとりで行けるでしょ」
あー、あれか。昨日テレビで放送されたホラー映画見てたよな。
大袈裟な位に怖がってたし、多分それでトイレ行けないって訳だろう。
先輩は涙目になりながら俺を連れて行こうと布団を引き剥がした。
「さ、さぶい」
「はやくっ、漏れちゃうから!」
ぐい、と力強く腕を引っ張られて、結局トイレの中にまで同席させられる俺。
先輩は便座の上に腰を下ろすと、手を添えて排尿し始める。
さっきまで中途半端に開いた瞼をこじ明け先輩の姿を凝視した。
ここから見る角度、完全に女の子だ。
「うう、漏れるかとおもったー、良かったぁ」
先輩ははあ、と大きく息を吐いたと思えば、そそくさとズボンを穿いた。


「すっきりしたー。おやすみてんまー」
「俺は全然すっきりしてないですよ……むしろむらむらと」
俺は一人で悶々としながら、朝を迎えるのであった。



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