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「うー、あー」
眉間にシワを寄せ、テーブルに肘をつけ、うなる先輩。
「先輩、どうかしたんですか?」
炭酸をグラスに注ぎ、先輩に手渡す。
そのグラスに口を点ける事無く、まだ真剣な面持ちで何かを考えているようだ。
「なにか、悩み事ですか?」
「あのね、いい歌があったんだけど、名前もバンド名もわかんなくてさー」
ああ、将来の事とか、部活の悩みではない訳ね。
物凄い顔してたから、思いつめてるのかと思ったけどそうではないらしい。
「なんか、ヒント下さいよ」
「〜♪って感じの曲なんだけど」
「えっ、ちょっと、かわいいんですけど」
歌とかどうでもよくなるくらい、先輩の鼻歌うたう姿がグッときた。
やたらと高くて可愛い声と、指でリズムを取る仕草。とても素晴らしい。
「〜♪♪って、きいてる?てんまー」
「そういや先輩とカラオケとか行った事無いですよね。今度行きましょう」
「何それ、今の流れでなんで誘う?あーもう、どんな歌かも忘れちゃった」
「あはは、いいじゃないですかもう」
「まー、いっかぁ」

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これぞいみなし話。



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