すがお

「うーっす」
「いらっしゃい、夜桜ちゃん」
夜桜ちゃんが初めてうちに泊まりに来た。
土日の2日間だというのに、大量の荷物を持って泊まりに来た。
人ん家のじゃ寝れないとか言って、枕まで持ってきた。あー可愛い。

「夜桜ちゃん、この可愛いポーチなに?」
「あー、これは、化粧ポーチ」
「け、しょう?」
「これ、描いたりするし」
夜桜ちゃんはそう言って、目の下を指差した。
「え、あ、…え!?」
「これ、くまじゃなくて、化粧だし」
衝撃の事実だ。てっきり俺はくまだと勘違いしていた。ていうか多分みんなもそう思ってるだろう。
「じゃあ、なんでそれかくのさ」
「あやしく見えるだろ?おれってそーいうキャラじゃん!」
ふふん、と腕を組んで自慢げに立ち上がる夜桜ちゃん。
色々突っ込みたいけどやめておこう。
「…ていうことは、それ落としたらスッピンが見れる訳だ!」
「ああ、まあ…なんか恥ずかしいな…」
翌々考えたら俺、夜桜ちゃんの私生活をあまり知らない。
ドーナツみたいなお団子を外した所も見た事が無いし、パジャマ姿だってそうだ。
どんどんひとりで盛り上がって、妄想を広げていく俺。
よし、考えているより、行動だ。
「よし、一緒に風呂入ろう、ね!」
「うあ、まだ早いだろ、やめ、ちょっと、ひっぱるなっ」
「もう、しょうがないなあ夜桜ちゃんは」
じたばたする夜桜ちゃんを抱き上げ、俺は上機嫌でお風呂場へ向かうのであった。



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