真面目な顔して

……俺は、悪趣味だ。
普通は自分でそんなことは言わないだろう。だが、認めざるをえないのである。
現実に、今の状態を見れば皆様もお分かりだろう。
テーブルの上には、紙袋がふたつ。どちらも『女物』の洋服が入っている。
これは自分が着るわけではない。そう、俺の"パートナー"に着せる為にわざわざ買ってきたものである。
一つ目の袋は『メイド服』。これは某メイド喫茶のメイドに土下座して借りてきたものだ。
二つ目の袋は『小学性の女児用の服』。これは近くにあるデパートの二階で、長時間品定めして購入したものだ。
あと数分で家に来る予定だが、こんな物を用意しているなんて思ってもいないだろう。
これをすすめたところで、あいつが素直に着てくれるわけがない。


数分後。
「ああ、いいよ」
「!?」
さらりと承諾する霧野。俺の予想を遥かに超えていた。
俺の頭の中ではバカじゃないのと罵られ、ぶん殴られる予定になっていた筈だ。
いつもの霧野なら絶対にそうするはず。今日の霧野はもしかして別人だろうか、とまで思えてくる。
「神童としては、どっちが似合うと思う?」
「え、えーと、こっちかな」
霧野はノリノリといった調子で、俺のすすめた『女児用の服』を取り出して一通り眺める。
「可愛いじゃん!着てみるから、あっち向いてて」
「あ、ああ」
俺は目を手で覆い、後ろを向いた。衣服が擦れる音だけが、部屋に響く。
「ほれ、こっち見ていいよ」
すぐさま振り返ると、そこには素晴らしい姿の霧野がいた。
「どうよ、これ」
「あの、ご、ごちそう様です」
よくわからない感想が口を滑るが、霧野は満足そうに腕を組み仁王立ちする。
大人っぽい形だけど子供の色合いのジャンパースカートに、黒いニーソックス。
ピンク色のチェックに黒のレースとか、今時の女児らしいデザインで最高だ。
中学生男子で女児の服を着こなせる奴は霧野以外にいるだろうか。俺はまだ見たことはない。というか絶対にいない。
「霧野、その姿で俺を罵ってくれないか」
「…神童よ、どこまで変態なんだ」
呆れた顔をしながらも、ソファーに座ってる俺の上に跨る霧野。
霧野の腕が俺の肩に絡まり、どんどん顔と顔の距離が縮まっていく。
霧野の大きい瞳が俺の心臓の鼓動を早くさせる。絶対に、どきどきしている事はバレているだろう。
「あの…霧野、さん?」
「こんなの着せて、俺のこと、どうするつもりだったわけ?」
霧野はニヤニヤしながら俺の胸板を突付く。その上目遣いで言われたら、正直クる。
しかも、わざとなのか解からないが俺のモノに擦り付けるようにお尻を揺らされ、俺のモノはすっかり起ち上がっていた。ズボン越しにもそれは明白だろう。
「ねぇ拓人、ここ、凄いことになってる」
さわさわとズボン越しに霧野の手が俺のモノを刺激する。
俺は我慢できなくなり、スカートの中に手をのばす。
「ちょ、っと、もう」
口ではそうは言いながらも、全く抵抗しない霧野。俺はそのままパンツ越しに形の良い尻を撫で回す。
そしてゆっくりとパンツを下ろし、片足だけ脱がす。
可愛らしいピンク色の小学生パンツがくしゃくしゃになって左の太ももに絡まっている。
なんだか本当に小学生としてるみたいで背徳感が湧き上がり、また俺のモノは質量を増していく。
「へ、んたいっ」
そういう言葉すら、興奮に変換してしまうのが俺である。
太ももを撫で上げ、強引に口付ける。
「ふ、あ」
霧野はそれを受け入れ、口を開いた。小さい霧野の舌は一生懸命に俺の舌を刺激する。
綺麗な歯列を舌で撫でるように舐めると、ぴくんと霧野は体を揺らした。
「蘭、丸」
唇を名残惜しそうに離すと霧野は恥ずかしそうに視線を外し俺の耳元で囁いた。
「今日は…いっぱい、してね」
俺はその一言で制御不能になってしまったのだった。まあ、その後はお察し下さい。


翌日、グラウンド、ベンチにて。
「なあ、スカートって意外とはき心地良いんだな」
「なに言ってんだよお前。女みてーなのは顔だけにしろっていうか、穿いたのかよ」
「いやー、あのさ、昨日神童にすすめられてさー」
「シン様、そういう趣味だったのですね…それはそれで、アリですけど」
「お前、さすがだな…」

その後、ファッション誌を仲良く広げるマネージャー達と部員1名の光景がよく見られたとか。

「神童、俺、可愛い服が欲しいなあ」
「あの、霧野さん、この前も買ってあげたでしょ…」
霧野を何かに目覚めさせてしまったのは、俺でした。





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