おおきな瞳

いつもの練習中の出来事。
「んー、目になんか入ったー」
霧野先輩が左目をごしごしと擦りながら俺の元へ駆け寄ってくる。
砂埃か何かだろうか、とりあえず見てあげることに。
瞳を潤ませはやくはやく、と急かす先輩。その姿にどきりとしてしまう俺。
「あ、あの、大丈夫そうですけど」
「ほんと?なんかじゃりじゃりするんだけど」
じゃりじゃりって、何だそれは。そう突っ込みたくなったけど、やめておく。
「もしよかったら、目薬使います?」
「ないす天馬!」
先輩は助かった〜とか言いながら俺を引き連れてミーティング室に戻った。


「先輩、上向いてください」
「んーっ」
ぎゅっと拳を握って上を向く先輩が可愛くて、思わずくすりと笑ってしまう。
「いきますよ」
「ぎゃっ」
何処から出したのか分からない声を上げて先輩は俺に引っ付いた。
汗の匂いと、土の匂いと、先輩のシャンプーの香り。
さっきの表情とか、色んなものがフラッシュバックしてきて、また俺の胸を高鳴らせる。
「うー、ありがと」
「いえいえ。先輩、目が大きいから困っちゃいますね」
涙を拭ってやり、頬に口付ける。先輩はびっくりして、更に目を大きく見開いた。
そのまま椅子に座り先輩を手招く。先輩は頬を染めて素直に俺の膝にちょこん、と乗っかった。
ああ、可愛いなあ。食べちゃいたいな、なんて思ったりして。多分今俺の鼻の下は伸びっぱなしだろう。
「先輩、今日うち来て下さいよ」
後ろから抱き締め耳元で囁くと、先輩はびくりと身を捩らせた。
「んー、どうしよっかな」
先輩は振り向いて、わざとらしく悩んでいるフリをする。
指を絡ませ、握ったり、離したり。些細な触れ合いでも、こんなにもどきどきしている。
その感覚にどうしようもなくなって、強く先輩を抱き締めた。


「あー、ここで食べてしまいたい。家まで我慢できない」
「ふふ、行くってば、もう、あは、やだっ」








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