はじめてのはなし

霧野は俺の部屋に勝手にあがりこんでは、自分の家のようにくつろいでいる。
当たり前のように部屋着を着込んでるし……ここはお前ん家じゃないっての。
しかもその部屋着がまた、中学生の男子が着る様なやつじゃなくて、ふわふわでうさぎの耳がついたパーカーにショートパンツだぜ?
もう、完全に女。脚だって、毛ひとつ無いし。
仕舞いには髪の毛下ろして、人に寄り添ってくるもんだから俺はどうしようもなくただ悶々としているが、正直持ちこたえる自信は無い。
実際、もう、やばい状態だ。

「ね、つるぎー、聞いてんの?」
「あ、ああ……」
人の腕にしがみ付いて、首を傾げて上目遣い。まずい。この状況はまずい。
先日のあの件から何日も経っていないのに、手を出すなんて駄目だ。
そもそも、男同士って、気持ちいいのか?とか余計な事まで考えてしまう始末。
とにかく、俺の頭の中は、妄想で一杯だ。
霧野を犯したくてうずうずしてるってのに、全く本人は気付かないで笑ってるもんだから、罪悪感すら湧いてくる。
だけど、もう、限界だ。
「ねぇ、つるぎ、って、ちょ、っと!」
ベッドに押し倒して両手首をシーツに押し付ける。霧野は嫌がりもせずに、ただ俺を熱っぽい視線で見つめてくるだけ。
俺は呼吸を荒くさせながら、勢い良く霧野の唇に吸い付いた。
「ん、う」
柔らかい唇はほのかに苺の香りがした。味わうように、何度も深く口付け。
小さな舌がたどたどしく口内を刺激してくるのが、可愛らしい。
唇を離すと、はあ、と大きく息を吐いては、潤んだ瞳を俺に向ける。
パーカーのファスナーをゆっくり下ろし、ゆとりのあるシャツに手をすべり込ませると霧野の体はびくりと反応した。
「は、じめてだから、やさしく、して」
「霧野……」
恥ずかしそうに頬を染める霧野が可愛くてしかたない。
他人に触れるのは初めてだし、正直緊張している。だけど、霧野に触れたいって気持ちのほうがどんどん強くなって、また行為に没頭していく自分がいた。
「あっ、ま、待って、つる、ぎ」
ショートパンツと下着を一気に下ろし、かわいらしいそれに触れる。
弱々しく抵抗し、俺の腕を掴む霧野。今にも泣きそうな顔。俺を煽っているのに気がついていないのだろうか。
ピンク色に染まったそれをやんわりと扱くと、びくりと体を振るわせた。
「お前、可愛いな」
「あ、あ、つる、ぎぃ」
艶のある声で名前を呼ばれ、限界。
もう、なんだか抑えきれなくなってしまって、すぐさま後ろに舌を這わせた。
「ひ、う!きたな、いってば、そんなとこ」
「汚くなんか無い」
やらしくひくひくしている霧野のそこ。
これ、もう入るんじゃないか?っていうか、俺が我慢出来ない。
「つ、るぎっ」
「悪い、っ」
腰を押さえつけ、先っぽを霧野のそこに宛がった。
「あ、まて、待ってって、ば」
「きりの、俺、もう、いれたい」
俺の腕をぎゅっと掴んで、いやいやと首を振る霧野。
霧野のそこは言葉とは裏腹に受け入れようとひくひくと蠢いている。
「あ、ん!!」
ぐちゅり、と音を立て、俺のものは霧野のなかを突き進んでいく。
「つる、ぎっ、はいんない、てばぁ、いた、いっ」
「ごめん、だけど、ほら、もう少しで、全部、お前のなかに」
シーツを握り締めては、ぼろぼろと大粒の涙を零す霧野。
涙を拭ってやると、ほんの少しだが笑顔を取り戻したようだ。
加減をしながら揺さぶると、霧野は気持ちが良いのか甘い声を漏らし始める。
「ん、う、つるぎぃ」
「きもち、良いのか?」
髪の毛を撫でて問い掛けると、恥ずかしそうにこくりと頷く。
どきり、とまた胸が高鳴った。覆い被さって、律動を早める。
「あ、う!だ、め、おかしく、なる!」
「俺はとっくにおかしいよ、お前の所為でな」
体と体が密着するせいか、熱くてしかたない。
ぐちゅぐちゅと繋がったそこから漏れる音。泣き声混じりのかわいらしい喘ぎ声。
それに反応して俺のものはまた質量を増して霧野のそこを拡げ、犯していく。
「あ、あ、おくまで、きて、る」
びくびくと震えながら恍惚の表情で俺を見つめる霧野が、可愛いくて仕方ない。
何度も執拗に奥に押し当て、素早く律動する。
霧野のそこはきゅう、と締まって、射精を促してきた。
「つるぎ、つるぎぃ、おれ、変になっちゃ、う!」
「く、う、霧野、きりの、っ、出す、ぞ」
細い腰を掴んで、最後の一滴までこぼさないようになかで射精した。
「きり、の、好きだ」
霧野は閉じていた瞼をゆっくりと開くと、俺をまっすぐ見つめてにこりと微笑んだ。



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